私の「貧乏物語」

これからの希望をみつけるために

いくつもの「貧乏物語」から,考える

私の「貧乏物語」
著者 岩波書店編集部
ジャンル 日本十進分類 > 文学
刊行日 2016/09/27
ISBN 9784000611534
Cコード 0095
体裁 四六 ・ 190頁
在庫 品切れ
日本では非正規雇用比率が4割を越え,セーフティネットが手薄なまま,若者,女性,高齢者など多くの人たちが貧困や孤立にあえいでいる.そんななか,希望はどこにあり,生きていくための支えがあるとしたら,どのようなものか.各界の36名が体験的に綴るいくつもの「貧乏物語」から,そのヒントをさぐるエッセイ集.

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河上肇の「貧乏物語」連載から今年で100年――日本では非正規雇用比率が四割を越え,セーフティネットが手薄なまま,若者,女性,高齢者など多くの人たちが貧困や孤立にあえいでいます.そんななか,希望はどこにあり,生きていくための支えがあるとしたら,それはどのようなものでしょうか.各界で活躍する三十数名が体験的に綴るいくつもの「貧乏物語」から,そのヒントをさぐるエッセイ集です.

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『私の「貧乏物語」』
岩波書店編集部 編
四六判,224頁,本体1600円
9月27日刊

■ 本書より――

蛭子能収
「初めての女性とのデートは渋谷だった.この日の飯だけはケチったらだめだと自分に言い聞かせて,それもなるたけシャレた物をと思い,私もまだ食べたことのないピザ店に入った」

佐伯泰英
「好きな闘牛士を取材するためにはイベリア半島を駆けまわることになる.将来のことなど指先ほども考えていなかった.家族はキャンプ場や川原のテントで待っているというのに」

ブレイディみかこ
「家に帰ると貪るように英国の若者たちの音楽を聴いていた.彼らは自分たちの貧しさや絶望を正直に言葉にし,貧困や格差を生み出す社会やマーガレット・サッチャーという人に憤っていた.彼らはとても自分に誠実でクールだと思った」

栗原康
「これまでどんなにがんばってきても,リタイアしたら社会のお荷物.役にたたないのに,カネだけかかるとかいわれてしまう.ただでさえそうなのに,オレはリスクをおかしてでもタケノコを採りにいくんだとかいったらもう大変だ.おまえらこれ以上,みんなにめいわくをかけるなよ,ジジイ,ババアはだまって寝てろ,それができないのは強欲だ,ひととして貧しいんだといわれてしまう.チキショウ!」

井手英策
「人間は人間を救ってやれるほど偉くもなければ,力もない.でも,せめて,残酷で理不尽な現実とは,何があっても闘おうと思う.家の貧しさ,障がい,才能,そんなのは運で決まる.それなのに,雇用制度がこわれ,所得が減るなか,運に恵まれない多くの人びとが,不安に怯え,結婚や出産さえ諦めつつある.こんなに悲しいことはない」
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