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「羊羹はお菓子なのにどうして羊の字が使われているの?」「端午の節句にはなぜ柏餅を食べるのですか」
私が所属する株式会社虎屋の菓子資料室,虎屋文庫には,和菓子に関わる様々な質問が飛び込んでくる.受け答えをするなか,和菓子の由来や歴史がわかるような辞典があったらと思うことは多く,気長に調査・研究を続けながら,いつか作れたらとぼんやり考えていたのだが,辞典執筆の依頼は想像した以上に早くやってきた.うれしいと思う反面,とまどったのは言うまでもない.
しかし,全国各地の名菓や和菓子作りの本はあっても,身近な最中や饅頭の来歴,加えて,それらにまつわるエピソードをまとめたものはないと気づいたとき,手元にあると便利で,和菓子がより楽しめる内容だったら……と方向性が見え,執筆の意欲がわいてきた.和菓子に関する言葉の定義というより,事柄について解説する「事典」とし,奥深い和菓子の世界に親しむガイドブックのような活用を考えてみた.
ちなみにイタリアでは,スローフード協会の会員の協力によって『L'Italia dei dolci 』が刊行されている.イタリア各地の伝統的な菓子(名物というより各地で大事にされてきた素朴な菓子)を一つ一つカラー写真つきで紹介するもので,こうした本も執筆の刺激になった.
美術家の森村泰昌氏がかつて拙著の巻末エッセイに「和菓子とは,話題が豊富であり,広大かつ深い学問の対象であり,また胃袋だけでなく想像 |
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力にも訴えかけるお楽しみな世界でもある」と記してくださったように,和菓子には無限の魅力がある.こうした和菓子のすばらしさを今後も伝え残していければと思う.
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●名称編/モチーフ編/素材・用語編の3部構成
●「和菓子の歴史」「年中行事と和菓子」「世界の菓子木型」「知っておくと便利な文様」など充実のコラム.
●付録として,「和菓子略年表」「和菓子関係資料館・図書館」「主な参考文献」を収録.
●巻末に索引を付す.『源氏物語』や『枕草子』に登場する菓子も検索できる. |
代表的な和菓子,身近な和菓子,年中行事に欠かせない和菓子などの名称を広く収録.各項目にカラー写真入り.
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| 「茶通」(竹翁堂) |
【主な項目】
飴/あんぱん/あんみつ/今川焼/外郎/おはぎ/カステラ/金平糖/煎餠/茶通/どらやき/ところてん/人形焼/羽二重餠/ぼうろ/最中/羊羹 ほか [約100項目] |
和菓子の色・形・銘のモチーフを植物,動物,自然などに分類して紹介.季語の表示もあり,季節の和菓子を選ぶヒントになる.各項目にカラーイラスト入り.
【主な項目】
青梅/朝顔/紫陽花/銀杏/梅/栗/桜/水仙/すすき/橘/鮎/うさぎ/貝/鯛/千鳥/蛍/雨/氷/霜/月/山/雪/歌枕/織部焼/源氏香図/宝尽くし ほか [約80項目] |
和菓子の主要な素材を紹介し,基本的な分類・製法用語も収録.和菓子の基礎知識を伝える.
【主な項目】
餡(粒餡・こし餡・味噌餡 ほか)/豆類(小豆・白小豆 ほか)/粉類・穀類(新粉・道明寺粉・白玉粉・黄な粉 ほか)/砂糖類・甘味料/香料・調味料/和菓子の分類・製法用語 [約80項目] |
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中山圭子(なかやま けいこ)
虎屋文庫研究主査.東京芸術大学美術学部卒.大学では江戸時代の「菓子絵図帳」を研究. |
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