網野善彦著作集 全18巻・別巻

推薦のことば/編集委員
プロフィール/略年譜

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全巻構成


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推薦のことば

上野千鶴子 (東京大学教授)
網野善彦さんの『無縁・公界・楽』を読んだ時の興奮を,昨日のように覚えている.退屈の代名詞だった日本中世史が,網野さんのおかげで魅力的な主題に変わった.さらに彼によって定住農耕民中心だった日本の列島史も書き換えられた.日本の学界のなかでより,世界でよく知られた歴史家……先駆者であることは異端であることと同じだと示したまま網野さんは逝った.常識が彼に追いつくのはいつのことだろう.

樺山紘一 (印刷博物館館長)
網野善彦さんは,希有の歴史家であった.提起された問題群,たとえば無縁・公界,非農業民と百姓,山野河海,「日本」…….どれもほぼ普遍名詞なのに,まるで網野色に染まっているかのようだ.網野問題として,固有名詞がついている.これこそ,希有さの所以である.網野史学は太い心棒とくっきりした輪郭があるが,その両方を一覧できる著作集が,ついに出現する.身ぶるいするような緊張感をおぼえるのは,私だけだろうか.

五味文彦 (放送大学教授)
深い洞察力と熱い魂がここには満ちれている.日本中世の史料への犀利な分析と非農業民など中世人の活動への熱い眼差しに基づいて,中世の魅力を存分に引き出した中世史家・網野善彦.その研究を基礎に日本列島の歴史の深層と課題に真っ向から挑んできた歴史思想家・網野善彦.この渾身の著作を読むことによって混迷する現代を問い直してみようではないか.歴史の奥深さを改めて知り,今に生きる力を感得することであろう.


編集委員プロフィール

稲葉伸道 (いなば のぶみち)
1950年生.名古屋大学大学院文学研究科教授.日本中世史・寺院社会史.著書に,『中世寺院の権力構造』(岩波書店),『愛知県史』資料編8・9(共著)など.

桜井英治 (さくらい えいじ)
1961年生.東京大学大学院総合文化研究科・教養学部准教授.日本中世史.著書に,『日本中世の経済構造』(岩波書店),『日本の歴史 12 室町人の精神』(講談社),『破産者たちの中世』(山川出版社)など.

盛本昌広 (もりもと まさひろ)
1958年生.日本中世史・近世史.著書に,『松平家忠日記』(角川書店),『日本中世の贈与と負担』(校倉書房),『ものがたり 日本列島に生きた人たち』9(共著,岩波書店)など.

山本幸司 (やまもと こうじ)
1946年生.静岡文化芸術大学文化政策学部教授.日本中世法制史・思想史.著書に,『穢と大祓』(平凡社),『天武の時代』(朝日選書),『頼朝の精神史』(講談社),『〈悪口〉という文化』(平凡社)など.




網野善彦 略年譜

1928年 山梨県東八代郡御坂町に生れる
生後まもなく東京に転居
1950年 東京大学文学部国史学科卒業
日本常民文化研究所月島分室に勤務(〜1954年)
1956年 都立北園高校教諭(〜1967年)
1966年 『中世荘園の様相』
1967年 名古屋大学文学部助教授(〜1979年)
1974年 『蒙古襲来』(「日本の歴史10」)
1978年 『無縁・公界・楽』(増補版=1987年)
『中世東寺と東寺領荘園』
1980年 神奈川大学短期大学部教授(〜1994年)
『日本中世の民衆像』
1982年 『東と西の語る日本の歴史』
1983年 「日本民俗文化大系」(共編)刊行開始
1984年 『日本中世の非農業民と天皇』
雑誌「列島の文化史」(共編)創刊
1986年 『中世再考』,『異形の王権』
1990年 『日本論の視座』
1991年 『日本の歴史をよみなおす』(続=1996年)
『日本中世土地制度史の研究』
1992年 『海と列島の中世』
1993年 「岩波講座 日本通史」(共編)刊行開始
1994年 『日本社会再考』,『中世の非人と遊女』
1995年 神奈川大学経済学部特任教授(〜1998年)
『悪党と海賊』
1996年 『日本中世都市の世界』
『日本中世史料学の課題』
1997年 『日本中世に何が起きたか』
『日本社会の歴史』上・中・下
1998年 『日本中世の百姓と職能民』
1999年 『古文書返却の旅』
2000年 『歴史としての戦後史学』
『「日本」とは何か』(「日本の歴史00」)
2001年 『中世民衆の生業と技術』
2002年 「岩波講座 天皇と王権を考える」(共編)刊行開始
2003年 『都市と職能民の活動』(「日本の中世6」)
2004年 2月27日死去(76歳)



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