ひきこもりのライフプラン

「親亡き後」をどうするか

親の資産を活用し,ひきこもりが一生続いても子を生涯支えられるライフプランをアドバイスする.

ひきこもりのライフプラン
著者 斎藤 環 , 畠中 雅子
通し番号 838
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2012/06/06
ISBN 9784002708386
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 104頁
在庫 品切れ
ひきこもり状態にある人たちの平均年齢は今や30歳を越えている.大半は親の経済的支援のもとで暮らしているが,親の死亡に伴う,長期のひきこもりの人たちの貧困化が懸念されている.ひきこもりが一生続いたとしても,親の現在の資産を最大限に活用して,子を生涯支えられるライフプランの作り方をアドバイスする.

■著者からのメッセージ

ひきこもり支援の難しさは,それが広い意味で「生き方」の問題に結びついてしまうためもあります.「病気」の問題ならともかく,「生き方」の問題には治療だけでは対処できません.教育,カウンセリング,哲学,経済学など,学際的な協力が必要になります.
 ひきこもりの青少年が高年齢化し,平均年齢が三〇歳を超えてしまった今,「いかにして生き延びるか」はますます重要なテーマとなりつつあります.(中略)
 本書はひきこもりの問題に,主に経済的な視点から検討と対策を試みたはじめての本です.ひきこもっている当事者の方々や,不安を抱えるご家族に役立てていただければ,うれしく思います.
(斎藤環「はじめに」より)

 この十数年,ひきこもりのお子さんをお持ちの家庭からお金の相談を受ける中で感じるのは,「先のことは,できるだけ考えたくない」とか,「いつかは考えなければならないことだけど,できれば今は考えたくない」と思われている親御さんが多いこと.(中略)
 ですが,お子さんの生活設計づくりを先送りにしても,自動的に解決する日はやってきません.(中略)
 そのため一日も早く,勇気を振り絞って,サバイバルプランを立ててみて下さい.今すぐにでも現実と向き合い,いつかはおとずれるお子さんひとりの生活の備えについて,試行錯誤して欲しいと願っています.ひきこもりの状態は改善しなくても,お子さんがひとり遺されたときでも生活できる目途が立てば,親御さんの気持ちが少しは楽になると信じてやみません.
(畠中雅子「最後に」より)
はじめに(斎藤 環)

I ひきこもりの理解と対応……斎藤 環
はじめに/1 原因/2 ひきこもりのメカニズム/3 症状/4 鑑別診断/5 治療的支援の第一歩/6 集団適応支援/7 訪問支援活動/8 メール,ネットの利用/9 「お金」ならびに「ライフプラン」の重要性/10 福祉サービスの利用/11 家庭内暴力への対応/おわりに

II ひきこもりのライフプラン……畠中雅子
はじめに/1 親の資産・負債の洗い出し/2 親の収入・支出の確認/3 親の住み替え/4 お子さんの収入・支出/5 お子さんの住まい/6 リバースモーゲージの活用法/7 成年後見制度の利用/8 ひきこもりのお子さんの相続/9 お子さんのひとり暮らしへの準備/〈ひきこもり相談事例〉/10 サバイバルプランの作成・分析
〈付録 モデルプラン〉

最後に(畠中雅子)
全国のひきこもり地域支援センター
斎藤 環(さいとう たまき)
1961年生まれ.爽風会佐々木病院診療部長.専門は思春期・青年期の精神病理,病跡学.著書は『社会的ひきこもり――終わらない思春期』(PHP新書,1998年),『「ひきこもり」救出マニュアル』(PHP研究所,2002年),『ひきこもり文化論』(紀伊國屋書店,2003年)ほか多数.

畠中雅子(はたなか まさこ)
ファイナンシャルプランナー.雑誌・新聞・インターネットに多数の連載をもつほか,講演,個人のマネー相談,金融機関のアドバイザー業務などを行っている.著書は『<ライフスタイル別> 家計の方程式』(NHK出版,2001年),『ミリオネーゼのマネー術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン,2004年),『高齢化するひきこもりのサバイバルライフプラン』(近代セールス社,近刊)ほか,40冊を超える.

書評情報

We learn 2013年1月号
ページトップへ戻る