震災と言葉

仙台在住の私小説作家は,被災地の近くであらためて「言葉」といかに向き合い,何を考えたか.

震災と言葉
著者 佐伯 一麦
通し番号 849
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2012/09/05
ISBN 9784002708492
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 72頁
定価 616円
在庫 在庫あり
仙台在住の著者は,被災地の近くであらためて「言葉」とどのように向き合い,何を考えたか.それは,私小説作家として未来への時間の流れを書けなくなる経験であり,日常性=時間を取り戻す困難な過程でもあった.言葉を語るときの態度の大切さ,言葉に刻み込まれた歴史性,震災とこれからの文学,1970年という転換点等について綴る.

■編集部からのメッセージ



 著者の佐伯一麦さんは,仙台在住の作家です.佐伯さんは,2011年3月11日以来,被災地の近くで,当初は言葉の真空状態に苦しみながら,あらためて言葉というものと向き合う日々を送られました.
 本書は,その体験から紡ぎだされた思索をまとめたものです.私小説作家として,小説で未来への時間の流れを書けなくなる経験や日常を取り戻すことの意味について,また,言葉を語るときの態度(言葉の姿)のたいせつさ,言葉と時間,言葉と歴史,震災と文学の可能性などについて綴られています.
 人が日々,日常を送るとはどういうことか.言葉とともに,言葉のなかで生きるとはどういうことか.ともに考えてみませんか.
第一章 喪失感の中で

第二章 日常性と言葉

第三章 言葉の姿

第四章 震災と文学

第五章 畏れということ

第六章 日常を取り戻すために

あとがき
佐伯一麦(さえき・かずみ)
1959年,宮城県仙台市に生まれる.仙台第一高校卒業後,週刊誌記者,電気工など様々な職業を経験した後,作家となる.著書に『ショートサーキット――佐伯一麦初期作品集』(講談社文芸文庫),『ア・ルース・ボーイ』(新潮文庫,三島由紀夫賞),『鉄塔家族』(朝日文庫,大佛次郎賞),『ノルゲ』(講談社,野間文芸賞),『石の肺』(新潮文庫),『往復書簡 言葉の兆し』(古井由吉氏との共著,朝日新聞出版)他多数.

書評情報

東京新聞(朝刊) 2014年4月6日
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