ルポ 労働格差とポピュリズム

大阪で起きていること

政権交代でも是正されない労働格差と貧困.「第三極」が待望される雰囲気の基層をさぐる.

ルポ 労働格差とポピュリズム
著者 藤田 和恵
通し番号 858
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 政治
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2012/12/06
ISBN 9784002708584
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 64頁
在庫 品切れ
半年先に仕事や住まいがあるかどうか分からない.フルタイムで毎日働いても暮らせない.将来の不安を思うと結婚にも二の足を踏んでしまう.政権交代をしても変わらない,そんな閉塞的な状況とともに広がってきた,強いリーダーシップへの期待.複雑なはずの問題も一刀両断してみせる「英雄」に,何が託されているのか.

■編集部からのメッセージ
 半年先に仕事や住まいがあるかどうか分からない.フルタイムで毎日働いても暮らせない.将来の不安を思うと結婚や出産にも二の足を踏んでしまう.政権交代をしても変わらない,そんな閉塞的な状況とともに広がってきた,強いリーダーシップへの期待.
 「橋下徹市長VS公務員」の対立が注目を集めてきた大阪市.先の市長選で現職への支援を呼びかける職員リストを捏造したのは,大阪市の非常勤職員だった.
 安定,高待遇のイメージのある公務職場だが,それは正規公務員に限った話.実際にはこの職員のような非正規公務員や,委託先の非正規労働者も多く,彼らの給与は生活保護水準以下のことも多く,雇用期間も細切れだ.同じ公務サービスを担いながら,絶望的な格差が立ちはだかる現実.結果的に捏造は発覚したものの,リストが橋下市長の公務員批判の追い風になることを狙って作られたことは明らかだ.
 本書は,労働問題を取材してきた筆者が,大阪のまちを歩きながら声を拾いつづけてきたルポルタージュです.複雑なはずの問題も一刀両断してみせる「英雄」に,いったい何が託されているのか,現実を通じて本質を描きます.
第1章 文書捏造事件

第2章 公務員に向けられる憎しみのまなざし

第3章 無法地帯と化す委託現場

第4章 民間でも求められる“英雄”

第5章 橋下支持層の正体

第6章 労働運動の転換への模索
藤田和恵(ふじた・かずえ)
1970年東京生まれ.フリーライター.早稲田大学法学部卒業,1994年北海道新聞入社.派遣労働を取り上げた連載「派遣さんと呼ばないで」,高齢者施設での虐待問題を取り上げた連載「なぜ私を殴るのですか」,監視カメラの増設や共謀罪を取り上げた連載「あなた見られてます 監視と安全のはざまで」,雇用の規制緩和や労働条件の劣悪化を取り上げた連載「労働「破壊」」などを企画・担当してきた.著書に『民営化という名の労働破壊 現場で何が起きているか』(大月書店),『ルポ 患者を守る人びと 医療崩壊のなかで』(旬報社)など.
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