原発は火力より高い


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編集部からのメッセージ

 2013年7月8日,原子力発電の新たな規制基準が施行されたのを受け,同日,北海道電力,関西電力,四国電力,九州電力の4社が5原発10基の再稼働申請を行いました.しかし,申請した原発のほとんどでは,新基準で求められる設備の設置や地震対策は完了していません.安全性が十分でないにもかかわらず,また,福島第1原発事故の事故処理や除染も進んでおらず,15万人の人々が故郷に帰れないでいる状況のなか,電力会社が原発の再稼働を急ぐのはなぜでしょうか.
 電力会社は,火力発電の燃料費高騰が経営を圧迫していることを理由に挙げます.しかし,原発が火力発電よりも低コストだというのは本当でしょうか.本書では,電力会社の有価証券報告書や決算説明会資料などをもとに,電力会社の論理を徹底的に検証します.その上で,原発が火力よりも安いというのは詭弁であること,そして,「原発=不良債権」をできるだけ早く廃炉に向けて処理しなければ,国民負担はますますふくらんでいくことを示します.
 原発の再稼働に積極的な自民党が参院選で圧勝した結果,日本の原発政策の行方が懸念されます.本書では,原発を維持すること(さらにはそれを輸出すること)が妥当かという倫理的な問題とは別に,経済的な面からも原発維持に合理性はないことを明らかにし,事故被害者に対する損害賠償スキームの見直しと電力システム改革,そして分散ネットワーク型社会への道筋を提起します.


著者プロフィール

金子 勝(かねこ・まさる)
1952年生まれ.慶應義塾大学経済学部教授.経済・財政学.著書に『フクシマからはじめる日本の未来』(共著,アスペクト),『原発は不良債権である』(岩波ブックレット),『放射能から子どもの未来を守る』(共著,ディスカヴァー携書),『「脱原発」成長論――新しい産業革命へ』(筑摩書房),『新興衰退国ニッポン』(共著,講談社),『新・反グローバリズム――金融資本主義を超えて』(岩波現代文庫),『日本再生の国家戦略を急げ!』(共著,小学館),『世界金融危機』(共著,岩波ブックレット),『閉塞経済』(ちくま新書),『地域切り捨て』(共編著,岩波書店),『環境エネルギー革命』(共著,アスペクト)など.


目次

序 章 Xデーが次々やってくる
第1章 日本原子力発電をどうすべきか
第2章 損害賠償スキームの根本的見直しを
第3章 原発廃炉への道
――不良債権をどう処理したらよいのか――
終 章 分散ネットワーク型社会へ向かって




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