「エネルギー自治」で地域再生!


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編集部だより
著者からのメッセージ

 再生可能エネルギー(以下,再エネ)がいまほど注目されている時代は他にありません.日本では特に,東日本大震災と福島第一原発事故後,再エネの普及拡大が,大きな課題となっています.ただし,再エネは単に量的に増やすことだけが重要なのではありません.それが分散型エネルギーであることから,地域の持続可能な発展に寄与する可能性が十分にありますし,そのように育てる必要があります.筆者は,それを可能にする鍵が「住民自治」にあると考えています.本書は,長野県飯田市を本拠として再エネ事業を行っている「おひさま進歩エネルギー株式会社」(以下,おひさま進歩)と飯田市の事例を通じて,このことを明らかにしていきたいと思います.〔……〕
 おひさま進歩は,市民共同出資による太陽光発電事業のパイオニアであり,メガソーラー企業とは異なった,地域に根差した社会的企業のモデルとして全国に知られています.〔……〕 域外の大企業ではなく,地元企業が再エネ事業を軌道に乗せて地域再生に寄与する道筋をつけるのは,それほど簡単なことではありません.実際,多くの自治体が政策環境を整えても,「担い手不在」のために事業立ち上げに躓いてしまうことがよくみられます.そうした中で,おひさま進歩の成功が示す卓越性は,いよいよ光って見えます.〔……〕
 関わりが深くなるにつれて,改めて再エネ政策先進国ドイツと比べてもまったく遜色のない飯田市行政の先進性と,職員の力量の高さに驚くことになりました.人口規模にして約一〇万人の比較的小規模な都市が,どうしておひさま進歩という全国的にも有名な事業体を生み出すことができただけでなく,日本全国に先駆けて先進的な政策を次々と打ち出すことができたのか,そして,それを支える基盤はいったい何なのか.こうした疑問が次々と湧いてきました.〔……〕
 飯田市は先進的な地域エネルギー政策という点でも,また,地元企業や住民が協力して再エネビジネスを立ち上げていく仕掛け・仕組みという点でも,きわめて豊富な事例を私たちに提供してくれます.筆者は,そこからエネルギー自治と住民自治の関係,そして地域の持続可能な発展について,多くを学ぶことができるのではないかと思います.本書では,おひさま進歩と飯田市を,エネルギー自治の「生きた教科書」として取り上げ,その成功の秘密を探っていきたいと思います.
(「はじめに」より)


著者プロフィール

諸富 徹(もろとみ・とおる)
1968年生まれ.京都大学大学院経済学研究科博士課程修了.現在,京都大学大学院経済学研究科教授.専門は環境経済学・財政学.
著書に『思考のフロンティア 環境』(岩波書店,2003年),『ヒューマニティーズ 経済学』(岩波書店,2009年),『低炭素経済への道』(共著,岩波新書,2010年),『環境税の理論と実際』(有斐閣,2000年)ほか多数.


目次

はじめに

1 再生可能エネルギーで地域再生を
1 買取制度がもたらした再エネの急速な普及
2 「集中型システム」から「分散型システム」へ
3 再エネによる地域再生という可能性

2 「おひさま進歩」と飯田市の後押し
1 おひさま進歩の誕生から現在まで
2 再エネを支援する地方自治体
3 他地域の「エネルギー自治」の試みと,その飯田市との比較

3 「エネルギー自治」で住民の自治力を育てる
1 太陽光ビジネスと「公民館」の関係
2 飯田の地域自治組織と「自治力」の涵養
3 「エネルギー自治」の実践による自治力強化

4 おひさま進歩エネルギー・原亮弘社長インタビュー

用語解説




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