岡正雄論文集 異人その他

他十二篇

岡正雄論文集 異人その他
著者 大林 太良
通し番号 青196-1
ジャンル 書籍 > 岩波文庫
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 1994/11/16
ISBN 9784003319611
Cコード 0136
体裁 文庫 ・ 278頁
在庫 品切れ
日本の民族学=文化人類学に大きな足跡を残した巨人岡正雄(一八九八―一九八二)の全貌に迫る論文集.柳田・折口学,シュミットの歴史民族学を批判的に継承しつつ,「種族文化複合」という独自の理論によって日本民族文化の形成を方法的に究明する.そのユニークな着眼と構想は,いまなお重要な問題と興味深い示唆に富んでいる.

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 日本における民族学(文化人類学)の歴史を振り返ってみると.坪井正五郎や鳥居龍藏のような創始者の世代に次いで,独立の学問としての民族学を建設するのに大きな貢献のあったのは,岡正雄,古野清人,石田英一郎,馬渕東一,杉浦健一の世代だった.このなかでもことに大きな存在で,学会の指導者として活躍したのは岡だった.
 しかしその偉大さや重要性のわりには,岡はあまり知られていない.ある意味それはもっともである.そのひとつの理由は世代の交替である.学問的関心の変化を別として,何よりも岡の謦咳に接し,大きな影響を受けた世代は現在の日本の学会ではもう少数派になったことである.おまけに岡の書いたものですぐ手に入るものはないといってよいほどである.岡は寡筆であった.自分でも怠け者だと言っていた.確かにウィーンで書いた厖大な学位論文を除くと,あまり大きなものはないし,またその数も少ない.そのかわり岡は座談の名人だった.戦後民族学の勉強を始めた私の世代などは,座談を通じて岡から多くを学び,またさまざまな刺激を受けた.今日ではもう岡から座談を通じてその魅力を知ることは不可能である.しかしここに集められた岡の諸論考は,岡の精髄というべきもので,いまなお多くの重要な問題の指摘と,その解決への興味深い示唆に富んでいるのである.……
(「解説」より)
日本民族文化の形成
日本文化の基礎構造
日本文化成立の諸条件
異人その他――古代経済史研究序説草案の控え
異性に閉ざされた社会
琉球=日本における秘密結社組織――その特徴と文化史的関係
産屋,他屋,寝屋,喪屋,竈屋,隠居屋など
同族組織と年齢階梯制
日本民俗学への二,三の提案――比較民俗学の立場から
民俗学と民族学
太陽を射る話
二十五年の後に――『日本民族の起源』あとがきにかえて
学説の盛衰――シュミット先生とウィーン学派


解説――大林太良
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