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憲法と政治

国民が立憲デモクラシーを機能させるために

憲法と政治
著者 青井 未帆
通し番号 新赤版 1606
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 政治
刊行日 2016/05/20
ISBN 9784004316060
Cコード 0231
体裁 新書 ・ 並製 ・ 264頁
在庫 在庫僅少

私たちは「政治が憲法を強引に乗り越える」さまを目撃した――.安保・外交政策の転換,さらには「改憲機運」の醸成がどのように進められてきたかをていねいに検証し,国会・内閣法制局・裁判所の責務にも言及.立憲主義にたった法の論理を鍛え,平和の問題を権力の適切な統制と結びつけて考える必要を訴える,熱い警世の書.

第一章 私たちは何を目撃したのだろう
  「改憲機運」の醸成/舵が切られている/自民党への政権交代後に/内閣法制局長官人事/安保法制懇報告書と安倍首相の会見/七月一日閣議決定/成立した安保法制/ 「憲法守れ!」と「でも必要でしょ?」/国家・家族・個人と一体となった「国がら」/ 「道理」と近代立憲主義/私たちの社会の中での「個人の自由」

第二章 憲法九条と安保・外交政策
 国際法における到達点/実力の統制/支えてきたもの/論理による統制/自衛隊をめぐる特殊性/何ができるか──ルールと例外/ 「例外として許される武力行使がある」/個別的自衛権と集団的自衛権の関係/ 「武力の行使に当たらないからできる」/転換──二〇一四年七月一日閣議決定/ 「我が国の存立」/昭和四七年見解/砂川事件/国民の生命、自由及び幸福追求の権利

第三章 限界に達している
  「国連平和維持活動」(国連PKO)/武力行使一体化論/武器等防護/米軍とセルフ・ディフェンス/憲法論と国際法論/ 「政府が判断する」?/国家と誠実さ/条約改定手続きなしに変わってきたこと/ガイドラインとは何なのか/ガイドラインの経過と「日米同盟」の変質/ 「トモダチ作戦」/米軍再編/同盟調整メカニズム/自治体や民間の「能力活用」/特定秘密保護法/ 「日米同盟の深化」と特定秘密保護法/ 「国際約束に関する規定」をめぐって/特定秘密保護法の目的/統合幕僚監部の内部文書/文民統制/文民統制をめぐる政府解釈

第四章 平和と想像力、武器と紛争
  「人間の破壊力」と政府の行為/ 「聞け野人の声」/女性・平等・戦争/武器・ビジネス・紛争/大きく変化する武器輸出/禁輸政策を振り返る──三原則の意味/政策の転換へ/ 「国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念」/禁輸政策がもたらしたこと/ 「武器輸出三原則」を再確認するために

第五章 国会の責務
 国会の軽視/二〇一五年夏の強行採決/政治と議院の自律/政治過程と法/国会の威信の回復と「他律」

第六章 憲法解釈と裁判所
 やってはいけないことだった/内閣法制局と「解釈の一義的確定性」/二〇一五年の事態とその検証/違憲審査と憲法判断/憲法訴訟とはなにか/立法行為と国家賠償請求訴訟/安保法制違憲訴訟/砂川事件最高裁判決/政治と裁判所と市民

おわりに
 あきらめない/沖縄

あとがき
参考文献
青井未帆 (あおいみほ)
 1973年生まれ.
 国際基督教大学教養学部社会科学科卒業.東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了,博士課程単位取得満期退学.信州大学経済学部准教授,成城大学法学部准教授などを経て,
 現在─学習院大学大学院法務研究科教授
 専攻─憲法学
 著書─『国家安全保障基本法批判』(岩波ブックレット),『憲法を守るのは誰か』(幻冬舎),『改憲の何が問題か』(共著,岩波書店),『憲法学の現代的論点』(共著,有斐閣),『論点 日本国憲法──憲法を学ぶための基礎知識』(共著,東京法令出版)など

書評情報

週刊読書人 2017年1月6日
法学セミナー 2016年12月号
学校図書館速報版 2016年10月1日号

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