筑豊炭坑絵物語


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『筑豊炭坑絵物語』

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編集部だより
編集部からのメッセージ

 2011年,山本作兵衛の画と文章(画はおよそ2000点遺されていると推定されていますが,そのうち,田川市石炭・歴史博物館と福岡県立大学で所蔵する画589点と日記・ノート108点)は,日本で初めて「世界記憶遺産」に登録され,これを機に大いに注目を集めています.
 本書は,初期のモノクロ作品を中心に,仕事,暮らし,災害など画のテーマに沿って11章に分け,227点を収録したものです.他の作兵衛さんの本とちがって,画に併記された文章を翻刻し,記録として読めるようにしたのが特色です.
 「ヤマの姿を記録して孫たちに残しておこう」という強い意志で描かれた画と文章は他にない貴重な記録ですが,画だけでなく文章を併読することで,作兵衛さんの作品をより深く読むことができると思います.
 作兵衛さんは,炭坑に関する原稿(400字1500枚)を書いていましたが,周囲の反対もあって,焼却したとも伝えられています.もともと文章で自ら体験してきた炭坑(ヤマ)の歴史を遺そうとした人だったのでしょう.そのようなこともあったからか,その文章には紙芝居の口上をおもわせる語りの妙が感じられます.本書は,往時をしのぶいい資料であると同時に,読み物としても十分楽しめるものだと自信をもってお勧めします.


著者・編者紹介

著者 山本作兵衛(やまもと さくべい 1892〜1984)
炭坑記録画家.1892(明治25)年,福岡県飯塚市生まれ.幼いころから坑内に入り五〇余年,働いていたヤマが閉じられるまで,筑豊の炭坑で暮らした.1957(昭和32)年,子や孫たちにヤマの姿を記録して遺しておきたいと炭坑の絵を描きはじめ,貴重な記録画を数多く遺した.2011(平成23)年,589点の絵画と108点の日記・ノートなどがユネスコの認定する「世界記憶遺産」に日本で初めて登録された.

編者 森本弘行(もりもと ひろゆき)
1959年生まれ.1983(昭和58)年より田川市石炭資料館(現・田川市石炭・歴史博物館)で,25年間,学芸員として山本作兵衛の炭坑記録画を担当.現在,福岡県田川市産業振興部商工観光課課長補佐.


目次

刊行によせて(田川市石炭資料館館長 佐々木哲哉)

第1章 ヤマの仕事(坑内労働1)
明治の入坑,狸掘り,先山,採炭,発破,枠入れ
第2章 ヤマの女
セナ,スラ,バッテラ,テボからい
第3章 ヤマの仕事(坑内労働2)
棹取り,マキバ,坑内馬
第4章 ヤマの仕事(坑外労働)
配函,運搬,排気,排水,鍛冶屋
第5章 災害
落盤,瓦斯爆発,鉱車事故,出水
第6章 ヤマの暮らし(1)
燃料,大納屋,バクチ,頼母子,骨み,子どもたち
第7章 ヤマの暮らし(2)
守護神,ブゼン坊,迷信,忌みもの
第8章 ヤマの訪問者
物売り,薬売り,手品師,連歌師,のぞき,ラッパ師
第9章 ヤマとキツネ
シバハグリ,キツネ,河童
第10章 米騒動
米騒動,喧嘩,リンチ
第11章 世相あれこれ
明治天皇崩御,奉公炭,災害と喧嘩

山本作兵衛自筆年譜
解説 山本作兵衛の炭坑画と文(森本弘行)
あとがき(森本弘行)
索引


▲撰炭機での作業(撰炭婦)


▲坑夫の住宅(納屋)


▲菓子売り(ブンマワシ)
(以上,田川市石炭・歴史博物館所蔵)




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