ちいさな言葉

『サラダ記念日』で知られる歌人が,幼い息子との会話を通して照らしだす,日本語の不思議や面白さ.

ちいさな言葉
著者 俵 万智
通し番号 文芸221
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 文芸
日本十進分類 > 文学
刊行日 2013/05/16
ISBN 9784006022211
Cコード 0195
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 280頁
定価 1,078円
在庫 在庫あり
幼い子どもが一つひとつ言葉を覚え,使うようになる道のり──それは微笑ましいだけでなく,日本語の不思議や面白さを照らしだしてもくれる.『サラダ記念日』で広く知られる歌人は,シングルマザーとして,いとしい息子の興味深い表現や発想を受けとめながら,言葉のキャッチボールを堪能中.その至福の時間を,柔らかな感性と思考でつづる.増補版.


■内容紹介
 単行本『ちいさな言葉』を文庫化するにあたって,二〇一〇年春以降も連載が続いている「木馬の時間」三年分を「III 続・木馬の時間」として収録しました.文庫にとって,これはかなり大きなオマケですが「II 木馬の時間」と地続きのエッセイなので,同じ一冊のなかに入れることができて,喜んでいます.幼稚園を卒園したあとも,母は言葉で成長を記録してきました.息子の学齢で言うと,小一,小二,小三の時代が「III 続・木馬の時間」になります.
 久しぶりに本書を読み返し,子どもという窓を通して,自分自身がさまざまなものを見てきたのだなあと,あらためて感じました.エッセイの中でも触れていますが,今,我々親子は沖縄(石垣島)に住んでいます.都会が大好きでインドア派の私が,南の島に馴染み,日々の暮らしを楽しんでいるなんて,人生は何があるかわかりません.そんな意外な一面を引き出してくれるのも,子どもの力なのでしょう.
――「岩波現代文庫版あとがき」

 本書は短歌誌「心の花」に連載された「ちいさな言葉」(I)と,中日新聞・東京新聞に(のちに河北新報にも)毎月1回連載された「木馬の時間」(II)とを合わせて2010年に小社より単行本として刊行されました.文庫化にあたり,現在も連載が続く「木馬の時間」の,単行本刊行以後から2013年3月までの3年分(III)を合わせて収録しました.「文庫にとって,これはかなり大きなオマケです」(俵).
Ⅰ ちいさな言葉
かなしいおべんとう
エサをまく
英語で,だっこ
ゴーからウェント
穴のあいた台所
(以下略)

Ⅱ 木馬の時間
木馬の時間
子どもと遊び
プレゼントの季節
動物園のワニ
キャラ弁
(以下略)
単行本あとがき

Ⅲ 続・木馬の時間
バレンタインデー
曲の名は
朝のできごと
ビールと野球
しりとり遊び
(以下略)

岩波現代文庫版あとがき
俵 万智(たわら まち)
歌人.1962年,大阪府門真市に生まれる.早稲田大学第一文学部卒業後,神奈川県立橋本高校教諭を四年間つとめる.佐佐木幸綱に師事.86年,「八月の朝」で角川短歌賞,87年,第一歌集『サラダ記念日』を出版,翌年同書で現代歌人協会賞,2004年,『愛する源氏物語』で紫式部文学賞,06年,歌集『プーさんの鼻』で若山牧水賞を受賞.「心の花」所属.

書評情報

東京新聞(朝刊) 2013年7月9日
朝日新聞(朝刊) 2013年6月16日
公明新聞 2013年6月3日
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