40年目の大学解体

──国立大学法人化を検証する──

小田垣 孝


 04年に法人化された国立大学は、今年度から新たな中期目標・中期計画の6年間に入り、文部科学大臣の承認を得た中期目標・計画に従った取り組みを始めたところである。国立大学の法人化は、国立大学を根底から変えるものであり、今後の日本の高等教育のあり方を考える上で、法人化が大学の教育や研究にどのような影響を与えたのかを精査しておく必要がある。一方、昨今の高等教育の変化には、国立大学の法人化のみならず、90年代の大学設置基準の大綱化、大学院の重点化や予算の一括配分、教育における競争的資金や超大型競争的研究資金の導入も大きな影響を与えており、大学の現状を理解するためには、それらを合わせて考察することが必要である。
 本稿では、教育、研究、運営について、この20年の間に国立大学がたどってきた道を検証し、将来に向けて新政権が取り組むべき課題は何かを考察する。

おだがき・たかし 東京電機大学理工学部教授。1945年生まれ。京都大学理学博士。ブランダイス大助教授、京都工芸繊維大学教授、九州大学教授を歴任、09年4月から現職。02年から06年まで九州大学理学部長。専攻は理論物理学で、非平衡統計力学、社会物理学、つながりの科学が最近のメインテーマ。主著に『パーコレーションの科学』『数学的手法』『つながりの科学』『統計力学』。