東電福島第一原発の過酷事故で大気中に放出された人工放射性物質は、とりわけ奥羽山脈から越後山地を経て関東山地にいたる本州脊梁山地から太平洋にかけての広大な大地に降り注ぎ、あらゆる食べものに取りついた。それによって、人びとの食とこれを支える人びとの生業は深い傷を負うことになった。農業者は、住み慣れた土地で生業を続けても、それによって生み出される食べものは一向に売れない。それだけでなく、稲わら等の汚染作物残滓や汚染堆肥などの “放射性廃棄物” で農家の庭も、野良も埋め尽くされるだろう。放射能土壌汚染が突きつけたこのような難問をどう解決することができるのか。きたばやし・としのぶ 1939年生まれ。東京大学大学院農業経済学科博士課程修了。国立国会図書館調査及び立法考査局勤務を経て、現在、農業情報研究所主宰。