敗戦後間もない1945年12月(1946年1月号、編集長吉野源三郎)に創刊し、戦後70年とともに歩んできた『世界』は、読者の皆様に支えられ、おかげさまで創刊70年を迎えることができました。編集部一同、深く御礼申し上げます。
数年前には考えられなかったことですが、政権交代・再政権交代を経て、第二次安倍政権のもと、日本は戦後最大の憲法の危機、国の在りかたが変容するかどうかという瀬戸際に立たされています。世界に眼を投じると、テロリズムと泥沼の「対テロ戦争」、難民危機、気候変動など、グローバルな人類的危機のただ中にあります。
そのような中、リベラルな総合雑誌がここ10年で次々と廃刊・休刊し、また新聞の部数低下、出版業界の低迷も続いています。しかし私たちは、立憲主義・平和・人権についてぶれることのない発信を続けてきた『世界』だからこそ、出来ることがあると確信しています。そしていよいよ『世界』の存在意義、その真価が問われる状況であると認識しています。
安倍政権にNoを突きつける市民たちの闘いの中から、大学生によるSEALD'sをはじめとして新しい動きが生まれ、足元からの民主主義のうねりが高まっています。沖縄では「オール沖縄」で新基地阻止の闘いが続いています。困難な時代ではありますが、市民の皆様とともに歩みを進め、現代を生きる羅針盤となる情報・評論をさらに発信できるよう、努力を重ねていきたいと存じます。
また、デジタルメディア革命の中、将来の電子雑誌化を見据えて、デジタル化にも取り組んでまいります。
創刊80年を目ざしてますますアクティブな『世界』に、ぜひご注目ください。
清宮美稚子