運慶のまなざし

宗教彫刻のかたちと霊性

彫像の視線や視界と,僧侶でもあった宗教者運慶の視点という二つの「まなざし」から,運慶の本質と作品の「かたち」の魅力に迫る.

運慶のまなざし
著者 金子 啓明
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
刊行日 2017/11/07
ISBN 9784000222372
Cコード 0071
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 326頁
定価 2,200円
在庫 在庫あり
運慶研究の第一人者が「まなざし」から運慶の本質に迫る.それは,彫像の視線や視界と,僧侶でもあった運慶自身の宗教者としての視点という二つのまなざしである.興福寺の無著・世親像や金剛峯寺の八大童子像をはじめとした傑出した彫像の宗教的内実,素材となった霊木の秘密,作品の「かたち」の魅力を明快に読みとく.
はじめに 運慶の生涯と本書のねらい
凡 例

序 章  運慶の生きた時代

第一章  修行僧運慶と仏師運慶 ──救済者の自覚
 1 『法華経』写経と懺悔 ──霊夢・霊木・霊水
 2 学侶と堂衆 ──東大寺お水取りへの参加

第二章  運慶作品のまなざし
 1 玉眼の霊験力 ──六波羅蜜寺の地蔵菩薩像
 2 こころを統一する視線 ──興福寺北円堂の無著・世親像
 3 修行者を見守る子供の目 ──金剛峯寺の八大童子像

第三章  素材へのまなざし ──カツラの特別な意義とは

第四章  運慶の新しさとは
 1 美の規範としての定朝様式 ──平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像
 2 若き運慶のまなざし ──円成寺の大日如来像
 3 天平彫刻古典への回帰 ──興福寺の釈迦如来像頭部(木造仏頭)
 4 運慶様式と仏法の根源のひびき ──願成就院の諸像

第五章  運慶と鎌倉時代の彫刻空間
 1 限定された場のなかで ──東大寺南大門の金剛力士像
 2 自由な彫刻空間 ──興福寺旧西金堂の金剛力士像
 3 多視点的なかたちの構成 ──興福寺東金堂の十二神将像
 4 個性的な表情と「心の多層性」 ──浄瑠璃寺旧蔵の十二神将像
 5 天空と結びついた彫刻空間 ──三十三間堂の風神・雷神像

終 章  「かたち」の力への信頼

あとがき
参考文献
図版出典
金子啓明(かねこ ひろあき)
1947年東京生まれ.興福寺国宝館館長,日本大学大学院芸術学研究科客員教授.慶應義塾大学大学院修士課程修了.専門は日本彫刻史.東京国立博物館に長年勤務し,事業部長等から副館長.その後,慶應義塾大学文学部教授を経て現職.東京国立博物館では特別展「仏像一木にこめられた祈り」,「国宝薬師寺展」,「国宝阿修羅展」等に取り組んだ.
著書に『仏像のかたちと心 白鳳から天平へ』(岩波書店),『運慶・快慶』(小学館),『文殊菩薩』(至文堂),『もっと知りたい興福寺の仏たち』『もっと知りたい法隆寺の仏たち』(以上,東京美術)他がある.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2018年2月4日
朝日新聞(夕刊) 2018年1月24日
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