世界 2018年8月号

セクハラ・性暴力を許さない社会へ

世界 2018年8月号
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ジャンル 雑誌 > 世界 > 定期号
刊行日 2018/07/06
■特集 セクハラ・性暴力を許さない社会へ

 小誌が「性暴力と日本社会」の特集を組んだのは今年1月号,伊藤詩織氏の勇気ある告発を受けてのことだった.
 ハリウッド発の#MeTooの波が日本でも広がるかと思われた.しかし,残念ながら動きはなかなか盛り上がらなかった.
 今年4月——.財務省の福田淳一事務次官(当時)による女性記者へのセクハラ発言問題が発覚した.緊急アンケート調査などで,メディアの現場に蔓延する性暴力の実態の一端も明らかになった.「勇気をもって告発したテレ朝の記者を孤立させまい」と,報道関係者を中心にいくつかの動きが起きている.「メディアで働く女性ネットワーク」も発足した.
 セクハラが社会の注目を浴び,この言葉が流行語大賞の新語部門を受賞したのは1989年,男女雇用機会均等法施行から3年後のことである.それから約30年,セクハラ・性暴力の問題に日本社会はどう向き合ってきただろうか.被害者は泣き寝入りするか,犠牲を払って告発し,かえって叩かれるという状況が長く続いてきたのではないか.
 一連の動きを受けて,日本でもセクハラ・性暴力を許してきた社会の構造がようやく可視化されはじめた.この動きを途切れさせることなく,社会がいい方向に変わるきっかけとなるよう,問題を多角的に考察する.

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┃ 特集 ┃セクハラ・性暴力を許さない社会へ
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〈「敵」は内側にあり〉
変わらない男社会の体質――メディア業界の女性たち
匿名(民放職員)

〈現場からの視点〉
セクハラという「男性問題」
金子雅臣(職場のハラスメント研究所主宰)

〈「魂の殺人」に向き合う〉
性暴力被害当事者との対話から
本橋由紀(毎日新聞)

〈「なぜ抵抗しなかったのか」〉
性的被害と「凍りつき」
椎名 葉(弁護士)

〈「あるある」で済ませない〉
他人事ではない「無意識のセクハラ」
瀧波ユカリ(漫画家)

〈フェミニズムの新たな波〉
韓国「# MeToo 革命」――女性が主導する「第二の民主化運動」
李娜榮(韓国・中央大学),翻訳・構成=岡本有佳

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◆注目記事
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〈偽りに抗う〉
「沖縄ヘイト」とマスメディアの責任
小那覇安剛(琉球新報)

〈法的対抗〉
匿名のヘイトスピーチといかにたたかえるか
小倉秀夫(弁護士)

〈袴田事件「再審を認めず」を認めず〉
特別寄稿「負けてたまるか」
袴田ひで子
〔インタビュー〕冤罪の継続こそ罪である
西嶋勝彦(弁護士)
検察の主張を丸吞みにした決定
木谷 明(弁護士)
〔連載〕神を捨て,神になった男 確定死刑囚・袴田巖【特別篇】「生きている限りは闘い続けていきます」
青柳雄介(ジャーナリスト)
司法に用いられる科学のあり方
荒木涼子(毎日新聞)
司法の良心を市民が見ている
青木恵子(冤罪被害者),金聖雄(映画監督),新田渉世(元プロボクサー)

〈EUの矛盾〉
左と右のポピュリズム――なぜイタリアで
赤木昭夫(元慶應義塾大学教授)

〈脆弱な政権〉
「分裂国家」台湾の現実――蔡英文政権二年を迎えて
本田善彦(ジャーナリスト)

〈民主主義から遠ざかる〉
カンボジアで何が起きているか
熊岡路矢(日本映画大学)

〈インタビュー〉
「見て見ぬ振り」を繰り返さないために――『ゲッベルスと私』監督たちに聞く
中村一成(ジャーナリスト)

〈インタビュー〉
「地方議員のなり手を見つけ,育てる努力が不足しているのです」
寺島 渉(長野県飯綱町前町議会議長),聞き手=相川俊英(地方自治ジャーナリスト)

〈つながり続ける〉
言葉を失うとき――相模原障害者殺傷事件から二年目に考えること
渡邉 琢(介助士)

〈米朝首脳会談は何を変えるか〉
朝鮮半島の大転換,本格的な推進段階へ
李南周(聖公会大学),翻訳=青柳純一
〔対談〕米朝首脳会談後の東アジア――非核化・平和構築の行方は
李鍾元(早稲田大学)×平井久志(ジャーナリスト)

〈追悼・日高六郎〉
東アジアの思想家としての日高六郎――二〇世紀を生き抜き,書き,思考した知識人
三宅芳夫(千葉大学)
「含羞の知識人」を見送る
 見田宗介(東京大学名誉教授)

〈特別寄稿〉
続・続 韓国行 (下)
金石範(作家)

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◇世界の潮
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◇AIの軍事利用を問うグーグル社員
池内 了

◇持続可能な山づくりに逆行しかねない「森林経営管理法」
尾原浩子

◇岐路に立つフィリピン・ミンダナオ和平
米元文秋

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●連載
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●脳力のレッスン【196】特別篇
一九六八年再考――トランプも「一九六八野郎」だった
寺島実郎

●新語解題【第6回】
「集団心理」――ヒトラーと大衆操作
小俣和一郎(精神医学史家)

●アパレル興亡【第12回】
黒木 亮(作家)

●私的小豆島名所【その37】
内澤旬子(イラストルポライター)

●仮想通貨は幻想通貨?【最終回】
ビットコインの展望
中島真志(麗澤大学)

●それぞれの出ウチナー記 海を越えるアイデンティティー【第11話・最終回】
――国家を越え世界に広がった絆
三山 喬(ジャーナリスト)

●沖縄(シマ)という窓
――母と子,少年たちの沖縄戦
山城紀子(フリーライター)

●映像世界の冒険者たち【第4回】
歴史の塵埃――テオ・アンゲロプロス
四方田犬彦(比較文学・映画研究家)

●パチンコ哀歌(エレジー)【第5回】
依存に崩れた家庭と人生
古川美穂(フリーライター)

●〈周縁〉の「小さなアメリカ」【第8回】
「ボーダー文化」の体現者たち――越川芳明との対話
中村 寛(多摩美術大学)

●中国新建築文化論【第15回】
中国近代建築の初期設定――梁思成とモダニズム
市川紘司(明治大学助教)

●読者投句・岩波俳句
選・文=池田澄子(俳人)

●片山善博の「日本を診る」【第105回】
今,野党のなすべきこと
片山善博(早稲田大学)

●原発月報――(18・5~6)
福島原発事故記録チーム

●メディア批評【第128回】
神保太郎(ジャーナリスト)

●世界論壇月評
朱建栄・竹田いさみ・吉田文彦・石郷岡建

●ドキュメント激動の南北朝鮮(252)(18・5~6)
編集部

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○グラビア
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○公募作品【168】
カンボジア――奪われた正義
高橋智史(フォト ジャーナリスト)

○A SHOT OF THE WORLD

○表紙の言葉
鈴木邦弘(写真家)

○表紙写真= 鈴木邦弘 デザイン= 赤崎正一+ 佐野裕哉

○グラビアについて(公募規定)

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◇編集後記
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