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生物多様性と私たち

COP10から未来へ

昨年10月に開かれたCOP10.そこでテーマとなった生物多様性を私たちの暮らしを通して考えると,大切さがわかってくるよ.

生物多様性と私たち
著者 香坂 玲
通し番号 ジュニア新書 682
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 生物・化学・環境
刊行日 2011/05/20
ISBN 9784005006823
Cコード 0245
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 220頁
在庫 品切れ

昨年10月,名古屋で開かれたCOP10で議題となった生物多様性を,私たちの暮らしを通して考えてみよう.すると,危機にある生物と暮らし方との関連,多様性がなぜ大切なのかが,はっきりわかってくるよ.同時に行われた子ども会議やユース会議で議論されたこと,10年後に向けて若者たちがはじめた活動も興味深いものだ.

■内容紹介
 昨年10月,名古屋市でCOP10が開かれたことで,COPとか生物多様性という言葉は聞いたこともないという人はいませんね.
 でも,COP10で話され,決まったことは何? とか,あなたにとって生物多様性はどんな意味をもっていますか? などと聞かれると,「えっ! ちょっと待って」と焦りますよね.
 自分にとっての生物多様性を語るには,いい方法があります.それが,この本の3章で語っている,衣食住を通して見た生物多様性なのです.ハチミツが好きな人なら,「なんだかハチミツが高くなってきた」という実感があるかもしれません.「ウールのセーターが高くなった」「太い木の柱がある家がなくなってきた」などと感じている人もいると思います.そんな印象をもっていれば,それがあなたにとっての多様性との接点なのです.
 「そんなふうになっているのは,いったいどうしてなんだろう?」と原因を探っていくと,多様性の現実がどんどん見えてきます.そうして,どうすれば,現実を改善できるかと考えれば,対策や自分のとるべき行動がわかってきます.マイナスの現実だけでなく,昔の野の草が人々の努力によって復活してきているという例も,いろいろとあります.
 そんなふうに見てくると,生物多様性はあるべきもの,守るべきもの,復活すべきものであることがわかります.
 ところで,私たちは生物多様性のために何をすればいいのでしょうか? そのことを地球全体に通用するように決めたのが,COP10の話し合いだったのです.
 私たち一人一人は,COP10で決まったことをつねに覚えていて行動することは大変です.でも,暮らしの中でいつも,多様性との関係を意識することならできそうです.また,この本で紹介した多様性にかかわる活動に参加してみることも,かんたんにできそうです.そんなふうにすれば,多様性のほうから私たちに近づいてきてくれそうですね.

1 COP10子ども会議・ユース会議で

2 多様性はなぜ大切なのだろう?
 1 生命絶滅のリスクが分散される
 2 病気が流行するから
 3 いろいろな役割を担っているから
 4 わかっていないことが多いから
 5 人間にとって,なぜ生物多様性が必要なのか

3 衣食住をめぐる生物多様性
 1 衣にかかわる多様性
 2 食にかかわる多様性
 3 住にかかわる多様性

4 生物多様性を維持するために
 1 COP10で話しあわれたこと
 2 遺伝資源をどうまもるのか
 3 COP10で決まったこと

5 動きだした若者たち
 1 いま,何をしているのか
 2 さまざまなとりくみ
 3 成果をいかすために何が必要か

付録1 ベスト・プラクティス
付録2 五感を使った環境学習・キャンペーン
香坂 玲 (こうさか りょう)
 1975年静岡県生まれ.東京大学農学部卒業.
 ドイツ・フライブルク大学森林環境学部修了,博士号取得(森林経済学).
 国連環境計画生物多様性条約事務局,名古屋市立大学勤務を経て,
 現在,金沢大学大学院人間社会環境研究科准教授.
 2008~10年,COP10支援実行委員会アドバイザー.
 専攻は地域創造学,環境教育・コミュニケーション論.
 著書『いのちのつながり──よく分かる生物多様性』(中日新聞社)

書評情報

図書館教育ニュース 2013年1月18日号
毎日新聞(夕刊) 2011年5月16日
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