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悲しみを生きる力に

被害者遺族からあなたへ

妹一家を殺害された絶望のどん底で,著者は生きる意味をどうつかんだか.つらく,悲しい思いを抱えるあなたへ送る希望のメッセージ.

悲しみを生きる力に
著者 入江 杏
通し番号 ジュニア新書 732
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 生活・生き方
刊行日 2013/01/22
ISBN 9784005007325
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 在庫あり

2000年12月,一家4人が殺害された「世田谷事件」.突然,妹一家を失った著者は,絶望のどん底に突き落とされる.周囲の偏見,心ない報道,愛する家族を助けられなかった自責の思い…….深い悲しみに向き合うなかで,どのように生きる意味をつかんだのか.つらく,悲しい思いを抱えるあなたへ送る希望のメッセージ.

■内容紹介
 「明るく前向きに」「いつまでもクヨクヨしないで」――.そんな言葉を投げかけられたり,あるいは無言の空気を感じたりすることはありませんか? 自分の体験に限らず,辛い出来事に向き合って,心から悲しむ.今の日本社会では,そうしたことが避けられる傾向にないでしょうか.
 2000年12月,東京都世田谷区で一家4人が殺害されるという痛ましい事件が発生しました.「世田谷一家殺害事件」と呼ばれるこの事件は,未だに解決されていません.亡くなったのは宮澤みきおさん,泰子さん,それに小学2年生のにいなちゃん,6歳の礼くんです.この本の著者,入江杏さんは泰子さんのお姉さんで,事件当時は宮澤さん宅の隣に住んでいました.
 原因もわからず,犯罪によって突然,大切な妹一家を奪われてしまった入江さんは,絶望のどん底に突き落とされます.さらに,心ない報道,周囲からの偏見,妹たちを助けられなかった自責の念などが入江さんを襲います.しかし,あることがきっかけで,深く悲しんだ経験をした自分だからこそできることがある,そして,そのことが妹たちのためになるのではないか,と気付きます.この本では,そうした自らの体験を語りつつ,悲しみとは何か,悲しむことの大切さなどを考えます.
 2011年3月に発生した東日本大震災では,たくさんの人が突然,家や仕事,あるいは大切な家族などを失いました.でも,日本社会は,こうした体験にしっかりと向き合えているでしょうか.悲しむことは人間にとって自然な感情で,悲しい出来事を避けて生きることはできません.自らの経験などにも照らし合わせながら,ぜひ多くの人に読んでいただけたらと思います.

はじめに――悲しみに向き合うこと
第1章  奪われた命
第2章  事件のあとに――遺族の悲しみと苦しみ
第3章  悲しみからの回復――「私の物語」を求めて
第4章  悲しみの共感へ――夫,息子,母それぞれの思い
第5章  再びの悲しみ――事件から一〇年目に
第6章  喪失が与えてくれるもの
第7章  答えのない問いに向き合う
おわりに――ジョバンニの切符
入江 杏(いりえ・あん)
国際基督教大学卒業.イギリスの大学で教鞭を執るなど,10年近い海外生活の後,帰国.2000年12月31日未明,殺人事件によって,妹一家四人を失う(「世田谷事件」).その後,犯罪被害からの回復,自助とグリーフ・ケアに取り組みながら,学校などで絵本創作と読み聞かせ活動に従事している.最近では自殺,難病と様々な現場の問題に取り組み,当事者の声を社会につなげようとフィールドの領域を広げている.著書に,『ずっとつながってるよ こぐまのミシュカのお話』(絵本,くもん出版),『この悲しみの意味を知ることができるなら――世田谷事件・喪失と再生の物語』(春秋社),共著などに『マスコミは何を伝えないか――メディア社会の賢い生き方』(下村健一著,岩波書店,下村氏との対談収録),『連続授業 命と絆は守れるか?――震災・貧困・自殺からDVまで』 (宇都宮健児他編,三省堂).

書評情報

日本経済新聞(夕刊) 2020年7月9日(安田菜津紀さん)
婦人之友 2014年6月号
毎日新聞(朝刊) 2013年12月17日
熊本日日新聞(朝刊) 2013年5月18日
現代思想 2013年4月臨時増刊号
東京新聞(朝刊) 2013年3月23日
週刊朝日 2013年3月22日号
毎日新聞(夕刊) 2013年3月5日
企業実務 2013年3月号

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