漢詩のレッスン

「春暁」「楓橋夜泊」など唐代の絶句十五首

漢詩のレッスン
著者 川合 康三
通し番号 ジュニア新書 789
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 外国語・文学
刊行日 2014/11/20
ISBN 9784005007899
Cコード 0298
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 266頁
定価 968円
在庫 在庫あり

合格の喜び,恋人との別れ,故郷への思い,若妻の愁い,老いの悲しみ,自由な生き方へのあこがれ,心に染み入る美しい風景….たった四行の漢詩「絶句」は,ときに晴れ晴れと,ときに甘やかに悲しく,私たちを豊かな世界へ誘います.漢詩を読むための基礎知識もしっかり解説.中国文化を知る手かがりにも.

■内容紹介

漢詩,というと,なんだかとても難しく,自分たちとは縁遠いものだと感じる人は多いのではないでしょうか.しかし,漢詩はほんの少し前まで,日本人の文化や生活のすぐ身近にあり,大きな影響を与えていました.いまでも,漢詩を知ることで広がる世界が,思わぬところであなたを待っているはずです.
とはいえ,敷居が高く感じるのも事実でしょう.そこで,この本では,漢詩のなかでも「絶句」と呼ばれる,わずか4句(4行)の詩のみをとりあげます.漢字の数でいえば,20文字,あるいは28文字です.
紹介する15の詩は,どれも唐の時代の作品.つまり1000年も前につくられたものです.しかしその短い文字のなかに織り込まれている,故郷への思い,恋人との別れの苦しさ,合格の喜び,あるいは歴史上の人物に託す思いや超越的な世界観は,いまを生きる私たちの心にも新鮮にうったえかけます.
初心者でもとまどうことがないよう,漢詩のきまりや,当時の中国の歴史や詩の作り手たちについてもはじめに紹介しています.短歌や俳句とは違う新しい詩の世界を,ぜひのぞいてみてください.
I 絶句を知ろう
1 詩のかたち
2 唐詩の時代区分
3 詩をつくる人々
4 日本人と漢詩

II 絶句を読もう
1 小鳥さえずる春の朝――孟浩然「春暁」
2 月光のもとに故郷を思う――李白「静夜思」
3 去年と同じ春――杜甫「絶句」(江碧にして)
4 柳の色がさそう悲しみ――王昌齢「閨怨」
5 夢破れて老いる――張九齢「鏡に照らして白髪を見る」
6 合格の喜び――孟郊「登科の後」
7 竹林の静寂――王維「竹里館」
8 雨に募る恋人への思い――李商隠「夜雨 北に寄す」
9 世界の果てまで拡がる光景――王之渙「鸛雀楼に登る」
10 寒山寺の鐘の音――張継「楓橋夜泊」
11 悲壮な別れ――駱賓王「易水送別」
12 燃えるような紅葉――杜牧「山行」
13 月の夜,舟は下る――李白「峨眉山月の歌」
14 恋人との別れ――杜牧「別るるに贈る二首」其の二
15 限りなく美しい夕日――李商隠「楽遊原」

あとがき
関係年表
川合康三(かわい・こうぞう)
1948年浜松市生まれ.1976年京都大学大学院博士課程中退.博士(文学).東北大学文学部,京都大学文学部,台湾大学招聘教授を経て,現在ブランダイス大学招聘教授,京都大学名誉教授.専攻は中国古典文学.主な著書に,『中国の自伝文学』(創文社),『終南山の変容』(研文出版),『白楽天――官と隠のはざまで』『杜甫』(以上,岩波新書),『李商隠詩選』(選訳)『白楽天詩選』(訳注)(以上,岩波文庫),『中国の恋のうた――「詩経」から李商隠まで』(岩波セミナーブックス),『桃源郷――中国の楽園思想』(講談社選書メチエ)など.
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