キリスト教入門

キリスト教は二千年の歴史を通じ,欧米の文化の精神的支柱であり続けた.異文化理解の基礎知識として,その歴史と思想を学ぼう.

キリスト教入門
著者 山我 哲雄
通し番号 792
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 社会・倫理
刊行日 2014/12/19
ISBN 9784005007929
Cコード 0216
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 254頁
在庫 重版中
二千年に及ぶ歴史を通じて,欧米の文化の精神的支柱としての役割を果たしてきたキリスト教.本書を読めば,ユダヤ教を母体として生まれ,独立した世界宗教へと発展し,諸教派に分かれていったその歴史と現在や,欧米の歴史,思想,文化との深い関係を学ぶことができます.異文化理解のための,教養としてのキリスト教入門.


■著者からのメッセージ
 本書は,キリスト教の布教伝道のためのものでも,キリスト教の信仰を深めるためのものでもなく,むしろノン・クリスチャン(非キリスト教徒)を読者に想定し,世界の思想や歴史や社会に大きな影響を与えてきた――そして今でも与えつつある――キリスト教という宗教について,正しく適切な知識と理解を養っていただくために書かれたものです.いわば,非キリスト教徒のための,「教養としてのキリスト教入門」といった性格のものです.ここでは,キリスト教がある種の異文化として扱われます.一部で「文明の衝突」が云々される現代世界において,最も重要なことの一つは,自分たちのものとは異なる文化や文明を適切に理解し合い,異なる文明や宗教に属する人々が平和的に共存し協力し合うために,相互に対話し,お互いに尊重し合うということでしょう.本書が,異文化としてのキリスト教の信仰と文化についての適切な知識と理解を養ううえで,よい助けになることを願って止みません.
 キリスト教は,約2千年前にユダヤ教を母体として生まれました.本書の前半では,キリスト教がユダヤ教の分派として出発しながら,独立した世界宗教へと発展していく次第を歴史的に明らかにしようと試みました.その後,キリスト教は大きく見てローマ・カトリック教会,(ギリシア正教などの)東方正教会,プロテスタント教会の三つに分かれて展開してきました.このうちプロテスタント教会は,ルター派や長老派や聖公会,メソジスト,バプテストなど,さらにたくさんの教派に分かれています.本書の後半では,それらの諸教派がなぜ分かれたのかや,諸教派の何が共通で,何が違うのかをできるだけ明確にしようと努めています.
 本書を,キリスト教についての基礎的で適切な情報を得るための教養書として,また世界史や倫理などを学ぶうえでの副読本として,広く用いていただければ幸いです.
(「はじめに」より抜粋)
はじめに
別表 聖書に収録された諸文書と,その略号の一覧
第1章 ユダヤ教とキリスト教
第2章 ナザレのイエス
第3章 キリスト教の成立
第4章 キリスト教の発展――キリスト教の西と東
第5章 ローマ・カトリック教会
第6章 東方正教会
第7章 宗教改革とプロテスタント教会
おわりに キリスト教と現代
キリスト教 略年表
索引
山我哲雄(やまが・てつお)
1951年,東京生まれ.北星学園大学教授.同大学大学院文学研究科教授を兼任.北海道大学文学部非常勤講師.専攻は聖書学,宗教学,キリスト教学.日本聖書学研究所所員.岩波書店版『旧約聖書』(旧約聖書翻訳委員会訳)では「出エジプト記」,「レビ記」,「民数記」を担当.主著に『聖書時代史 旧約篇』(岩波現代文庫),『海の奇跡 モーセ五書論集』(聖公会出版),『一神教の起源 旧約の「神」はどこから来たのか』(筑摩書房),『聖書』(PHP研究所),『図解これだけは知っておきたいキリスト教』(洋泉社)など.訳書にノート『旧約聖書の歴史文学』(日本基督教団出版局),シュミート『旧約聖書文学史入門』(教文館)など.共編に『旧約新約聖書大事典』(教文館),『新版総説旧約聖書』(日本キリスト教団出版局)など.学会関係では,日本宗教学会評議員,日本基督教学会理事,日本旧約学会会長などを歴任.

書評情報

信徒の友 2015年5月号
こどもとしょかん 145号(2015年春)
AERA 2015年3月23日号
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