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寿命はなぜ決まっているのか

長生き遺伝子のヒミツ

人はみな,なぜ老い,死ぬのか.「長生き遺伝子」とは? 老化とガンの関係は? 細胞老化の研究者が,科学的な観点から解説.

寿命はなぜ決まっているのか
著者 小林 武彦
通し番号 824
ジャンル 書籍 > 岩波ジュニア新書 > 生物・化学・環境
刊行日 2016/02/19
ISBN 9784005008247
Cコード 0245
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 206頁
在庫 品切れ
「いつまでも若く」「ずっと健康でいたい」――アンチ・エイジング(抗加齢)は遠い昔から,人類の夢でした.しかし,人はみな,いつかは死にます.生き物はなぜ老い,なぜ死ぬのか? 「いのちの回数券」「長生き遺伝子」とは何か? 老化とガンの関係は? 細胞老化を第一線で研究する著者が,科学的な観点から,やさしく解説します.
    はじめに

第1章 赤ちゃんも老化している!?
     ヒトはどのように死ぬのか?
     老化しない生物もいる?──細菌と原生生物
     不死身な生きものプラナリア
     樹木という生き方
     一つ一つの細胞が老化する──ヘイフリックの実験
     なかなか老化しない細胞① 幹細胞、神経細胞
     なかなか老化しない細胞② 生殖細胞
     卵や精子も老化する
     細胞が老化するとどうなる?
     「プログラム仮説」と「エラー蓄積仮説」
     死滅する神経細胞
     脳の老化の原因
     ヒト早期老化症(早老症)
     個体の寿命は延ばせるの?
     ホルモンと個体老化
     閉経後の三〇年は「余計」ではない
     おばあちゃん仮説
     ホルモン治療で若返る?
     個体の死と細胞の死
     なぜヒトは死ぬのか?

第2章 いのちの回数券はある?
     人生はカウントダウン?
     ちょっと復習──細胞分裂とDNAの複製
     DNA合成酵素の二つの「くせ」
     それでも変異はたまっていく
     iPS細胞も老化する
     染色体の端っこ問題
     テロメラーゼで元に戻す
     テロメアは分裂回数を数える
     テロメアは唯一のいのちの回数券か?

第3章 DNA修復という若返り術
     メンデルと遺伝子──遺伝子って、何?
     遺伝子はDNAでできている──大腸菌はえらい!
     遺伝子は「情報」、DNAは「もの」
     意外とか弱いDNA
     発電所ミトコンドリアの功罪
     強い味方! DNA修復機構
     細胞周期を止めて傷を修復
     修復機構の破たんは、病気を引き起こす
     ゲノムの守護神p53
     DNAの傷とガン化
     ゲノムの傷と細胞の老化
     新しい細胞に渡す「きれいなゲノム」
     それでも傷つくゲノム──修復の限界

第4章 長生き遺伝子の解明
     「長生き遺伝子」はあるのか?
     環境も寿命を延ばす
     ヒトの長寿遺伝子の探索
     長寿遺伝子の正体
     モデル生物を使った長寿遺伝子の探索
     マウスは老化研究に向いていない!
     三〇年生きるハダカデバネズミ
     老化研究に最適な生きもの① ハエ、線虫
     老化研究に最適な生きもの② 酵母菌
     ゲノムには壊れやすいところがある
     巨大反復配列リボソームRNA遺伝子
     リボソームRNA遺伝子は裸の王様!?
     遺伝子増幅機構の正体
     Sir2とFob1は寿命に関わる遺伝子である
     rDNAが寿命を決めている!
     ヒトでもrDNAは老化速度を決めている?
     サーチュインとrDNA
     細胞老化のrDNA仮説
     長寿遺伝子を活性化させるには
     NMNは夢の若返り薬か?

終章 寿命はなぜ決まっているのか
     老化がなければ人類絶滅!?
     寿命が延びると幸せか?
     老化は必要?
     老化はガンを防ぎ、生きものを進化させた!
     高齢になるとガンになるのはなぜ?
     ヒトの寿命は操れるか?
     最後はガンと認知症との戦いか?
     人類は長寿社会を維持できるか
     少子化を少しでもくい止めるには
     科学にウルトラCを期待しない
     寿命はなぜあるのか

    おわりに

    キーワード
小林武彦(こばやし たけひこ)
1963年、神奈川県生まれ。東京大学分子細胞生物学研究所ゲノム再生研究分野教授。九州大学大学院医学系研究科修了。米国ロッシュ分子生物学研究所および米国国立衛生研究所、基礎生物学研究所、国立遺伝学研究所を経て、現職。専門は、分子遺伝学、ゲノム再生学、分子生物学。
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