円周率が歩んだ道

古代ギリシアをはじめ世界各地で探求されてきた円周率.様々な文化のなかで数学が担った役割と歴史を解説.

円周率が歩んだ道
著者 上野 健爾
通し番号 4
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 自然科学・科学史
刊行日 2013/06/18
ISBN 9784000291040
Cコード 0341
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 252頁
在庫 品切れ
直径と円周の比である円周率は,古代ギリシアをはじめ,インド,中国,日本など,世界各地で独立に探求されてきた.やがて円周率は円周とは関係のない無限級数に現れる不思議な数であることもわかった.本書は,円周率を主題に,さまざまな文化のなかで数学が担ってきた役割と歴史を解説する.いまなお円周率は新たな数学を生み出す.


■編集部からのメッセージ
 円周率πは不思議な数である.3.141235…と小数点以下が無限に続く数という意味ではない.そんなことなら,√2や√3,といった無理数はいずれも無限に小数点以下が続く.不思議なのは,円や直径とは何の関係もないと思われるところにπが顔をだすことである.たとえば自然数1,2,3,…,をそれぞれ二乗し,その逆数を順に足していく操作を無限に続けるとその和はπの二乗を6で割った数になるという有名な式がある.その他にも想像すらつかない場所に出現する.
 円周率πとはいったいどういう値なのか.その正体を見きわめようと,古今東西さまざま人が挑んできた.その中から新しい数学も生まれ,文化の交流もさかんになった.
 πをめぐる数もまた進化している.たとえばπを10進法で表記すれば小数点以下無限にランダムに続く数だが,16進法で表記すると法則性が現れる.古今東西のπに関わる数学および文化史が今に甦る.
第1章 魏・晋南北朝と劉徽
第2章 アルキメデス
第3章 三角関数
第4章 イスラーム世界の円周率
第5章 インドの円周率
第6章 金・宋・元時代の中国数学
第7章 江戸時代の円周率
第8章 近世ヨーロッパ
第9章 明・清の数学とモンゴル人数学者
第10章 円周率の新たな歩み
第11章 現代の円周率
付録 円周率πが無理数・超越数であることの証明
上野健爾(うえの けんじ)
1945年生まれ.1968年東京大学理学部数学科卒業.現在,四日市大学関孝和数学研究所所長.京都大学名誉教授.専門は複素多様体論.
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