脳と機械をつないでみたら

BMIから見えてきた

念じるだけで機械を動かす!? この研究はどこまで進んだ? 脳はどこまでわかった? わたしたちへの影響は?

脳と機械をつないでみたら
著者 櫻井 芳雄
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 自然科学・科学史
日本十進分類 > 自然科学
刊行日 2013/07/18
ISBN 9784000291088
Cコード 0340
体裁 四六 ・ 210頁
在庫 品切れ
念じるだけで機械を動かす!? 「攻殻機動隊」や「ロボコップ」の世界を現実にするかのようなBMI――脳と機械を直接つないだ究極の身体代替システム――の研究は,どこまで進んでいるのか.脳の特性や構造,機能の実態を,最新の知見から解説.研究の面白さと神経科学における重要性,社会への影響をわかりやすく述べる.


■編集部からのメッセージ
 念じるだけで機械を動かす!? 視覚や聴覚を補う!? リハビリの効果を高める!?……。本書は「ロボコップ」や「攻殻機動隊」などのSFで語られていた世界が、いまや現実味を帯びてきているという話からはじまります。
 ブレイン-マシン・インタフェース(BMI)は脳で機械を動かすシステムです。脳の神経活動でロボットや機器を直接操作することを目指しており、究極の身体代替システムとして注目を集めています。
 BMIの研究はどこまで進み、神経科学にどんな知見をもたらしたのでしょうか? まだ十分に解明されていない、脳の根本的かつ重要な特性と、ほぼわかっている構造と機能の実態を、最新の知見を取り混ぜ解説します。BMI研究の面白さと神経科学における重要性、社会への影響を述べ、今後の脳研究がめざすべき目標を、社会的観点からも考察します。
 BMIは、単なる有用な道具ではありません。神経科学の重要なテーマです。BMIを通すと謎に満ちた脳の姿が浮かび上がり、脳研究と社会の関わりも見えてきます。本書を読んで、未来を一緒に考えましょう。
はじめに

第1章 脳で機械を動かす?
1 SFから現実へ
2 進展するサルのBMI
3 ラットのBMIからわかること
4 誤解と実態
 〈コラム〉 機械の信号を脳に入れる

第2章 BMIが突きつけた脳の根本問題
1 何が情報を表現しているのか
2 情報は脳全体にあるのか特定部分にあるのか
3 脳はどこまで変わるのか
4 脳と身体はどこまで一体か
5 自発的な脳活動は何を意味しているのか

第3章 BMIにつながる脳と脳研究の実態
1 多彩な細胞と信号伝達
2 究極の民主主義
3 必然的な個性
4 脳研究の現場
 〈コラム〉 若い研究者への期待

第4章 神経科学とBMIの未来
1 融合研究と反還元主義
2 故障した脳の修復
3 脳の操作と倫理
4 ユートピアの姿

あとがき
参考文献
櫻井芳雄(さくらい よしお)
1953年生まれ.京都大学大学院文学研究科博士課程中退.広島大学助手,富山医科薬科大学助教授,ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授,科学技術振興機構研究員(兼任),京都大学霊長類研究所助教授,生理学研究所客員助教授を経て,現在,京都大学大学院文学研究科教授.医学博士.専門は認知神経科学と実験心理学.
著書に『ニューロンから心をさぐる』(岩波書店),『脳の情報表現を見る』(京都大学学術出版会),『考える細胞ニューロン』(講談社選書メチエ),共著書に『ブレイン―マシン・インタフェース最前線』(工業調査会),『記憶と脳』(サイエンス社)などがある.

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