多文化であることとは

新しい市民社会の条件

多くの定住外国人が暮らし,事実上,多文化化が進む日本.文化の多様性はどう承認されうるのか.

多文化であることとは
著者 宮島 喬
通し番号 21
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 政治・経済・現代社会
刊行日 2014/01/17
ISBN 9784000291217
Cコード 0336
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 292頁
定価 2,530円
在庫 在庫あり
過去に植民地を抱え,現在はグローバル化のなかで外国人労働者が流入し,多くの定住外国人が暮らす日本.しかし彼らの生活を支える制度の整備は遅れ,近年は異質な存在への不寛容さが際立つ.一方ヨーロッパでも,2000年代に入って多文化化への逆風が吹き荒れている.洋の東西の符合は偶然なのか? ヨーロッパを参照枠組みに,日本社会の多様性を捉え直す.

■編集部からのメッセージ

性,年齢,国籍,民族,その他の多様な属性の人々が共存し,単に「在る」だけでなく,市民としてさまざまな領域で生活に参加すること――著者は「多文化であること」をこう定義します.本書では,ヨーロッパと日本を視野に,多様なアクターとその文化の承認が,現代社会の必須の課題であることを論じていきます.
 今日,ジェンダー平等へのバックラッシュやヘイトスピーチの横行など,多文化への逆風が強まっています.著者は本書で,日本社会に備わる多様性を見据え,様々なアクターに開かれた市民社会について考察を展開しますが,そこには今の状況に対する著者の強い危惧とともに,新しい市民社会実現への希望が込められています.
 社会学の泰斗による多文化社会論の決定版です.ぜひご一読ください.
藤田紀子

■ 関連書

● 『軽いシティズンシップ――市民・外国人・リベラリズムのゆくえ』 クリスチャン・ヨプケ/遠藤乾,佐藤崇子,井口保宏,宮井健志 訳
● 『いちょう団地発! 外国人の子どもたちの挑戦』 清水睦美,「すたんどばいみー」 編著
● 『移民社会フランスで生きる子どもたち』 増田ユリヤ
● 『カナダの憲法――多文化主義の国のかたち』 松井茂記
● 『人権をめぐる十五講――現代の難問に挑む【岩波現代全書】』 辻村みよ子
宮島 喬(みやじま たかし)
1940年生まれ.東京大学文学部卒業.同大学院社会学研究科博士課程中退.お茶の水女子大学教授,立教大学教授,法政大学教授を歴任.現在,お茶の水女子大学名誉教授.専攻は社会学.
著書に,『デュルケム社会理論の研究』『デュルケム理論と現代』『ヨーロッパ社会の試練』(以上,東京大学出版会),『文化的再生産の社会学』(藤原書店),『文化と不平等』『共に生きられる日本へ』(以上,有斐閣),『外国人労働者迎え入れの論理』(明石書店),『一にして多のヨーロッパ』(勁草書房),『移民社会フランスの危機』『社会学原論』(以上,岩波書店),『ヨーロッパ市民の誕生』(岩波新書)など.編著に『岩波小辞典 社会学』(岩波書店),訳書に『再生産』(藤原書店),『差異』(共訳,法政大学出版局)などがある.
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