9.11以後のイスラーム政治

9.11事件以後,ますます混迷の度を深めるイスラーム世界の危機を,宗教と政治の接点からわかりやすく解く.

9.11以後のイスラーム政治
著者 小杉 泰
通し番号 34
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 政治・経済・現代社会
刊行日 2014/06/18
ISBN 9784000291347
Cコード 0331
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 286頁
在庫 品切れ
パレスチナ問題,民主化運動のゆくえ,アフガニスタン,シリア,イラクの緊迫など,イスラーム世界はますます混迷の度を深めている.従来の近代化,共存論では解決できないイスラーム世界の危機を,宗教と政治の接点からわかりやすく解き,21世紀の国際政治の中でのイスラームの意味を考察する.


■編集部からのメッセージ
 軍の力が復活するエジプト,内戦が続くシリアなど,「アラブの春」の行方は混沌としてきました.そしてパレスチナ和平の解決の道筋はますます見えなくなっています.
 中東だけではありません.中国,アフガニスタン,インドネシアなど,イスラームをめぐる事件は続きます.小杉先生はこの状況を,9・11事件以後,世界政治としてイスラームを考えなければならない,と主張します.そうした大きな変化の中に私たちがいるとしたら,政治としてのイスラームを理解することは現代を生きるために不可欠の問題ではないでしょうか.
 しかし,宗派対立や宗教と政治の関係など,イスラームと政治の問題は,基礎知識がないと非常にわかりにくいものです.本書は,中東紛争,イラン革命,イスラーム復興,湾岸戦争,アラブの春など,基礎的な問題から説き起こし,現在の過激派から穏健派までのイスラーム政治の動きをわかりやすく論じます.9・11以後のイスラームと現代世界の関わりを考えるための必読の1冊です.
樋口良澄
はじめに

Ⅰ 現代イスラーム政治の争点
第一章 イスラーム政治の活力
第二章 軍事と政治の対立

Ⅱ イスラーム政治の原点
第三章 イスラーム反乱者たちの冒険
第四章 戦争が織りなす現代中東

Ⅲ グローバル化の中のラジカリズム
第五章 西洋vs.イスラーム世界
第六章 突破口を探る中道派

Ⅳ 21世紀の国際社会とイスラーム
第七章 アラブ民主化と中東政治の変容
終章 明日の国際社会とイスラーム

参考文献
あとがき
小杉 泰(こすぎ やすし)
1953年北海道生まれ.エジプト国立アズハル大学卒業.法学博士(京都大学).マレーシア国民大学名誉博士(イスラーム文明学).現在,京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授.国際大学大学院国際関係学研究科教授,ケンブリッジ大学中東研究センター客員研究員,日本学術会議会員,日本中東学会会長などを歴任.専門は,イスラーム学,中東地域研究,比較政治学,国際関係学,比較文明学.イスラーム研究・中東地域研究の功績に対して2005年大同生命地域研究奨励賞,2012年紫綬褒章,2013年京都大学孜孜賞.
著書に,『イスラームとは何か――その宗教・社会・文化』(講談社現代新書),『現代中東とイスラーム政治』(昭和堂,1994年サントリー学芸賞),『現代イスラーム世界論』(名古屋大学出版会)など多数.共編著に『岩波 イスラーム辞典』(2002年毎日出版文化賞)など.

書評情報

週刊エコノミスト 2014年9月30日号
日本経済新聞(朝刊) 2014年8月24日
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