ぼくらの哀しき超兵器

軍事と科学の夢のあと

超能力に殺人光線,魔法の水にゲイ爆弾…….奇々怪々・死屍累々のアイデアを,朽ち果てる前に掘り起こす怪著.

ぼくらの哀しき超兵器
著者 植木 不等式
通し番号 71
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 歴史・伝記
刊行日 2015/08/19
ISBN 9784000291712
Cコード 0331
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 302頁
定価 2,750円
在庫 在庫僅少
超能力に殺人光線,魔法の水にゲイ爆弾…….「王道」の兵器が闊歩する世界史の裏には,残念な〈超〉兵器たちが織りなす闇の歴史があった.ときの宰相やノーベル賞受賞者も意外に活躍.奇々怪々・死屍累々のアイデアを,朽ち果てる前に掘り起こし,よせばいいのに白日の下にさらす怪著.仰天エピソードの合間に,戦争の哀しさがほの見える.

■編集部からのメッセージ

「超兵器」ということばを初めてきく,という方も多いことでしょう(私もそうでした).ただ,これをちゃんと定義しようとするとなかなかむつかしい.そこで,定義や詳しい説明は本書「補遺」にお任せするとして,本書での使われ方をイメージしていただくには,実例を挙げたほうが手っ取り早そうです.たとえば殺人光線,コウモリ爆弾,超能力.あるいは,兵士たちの同性愛を育む媚薬,カストロのヒゲをなくしてつるてかな顔にする作戦…….「この手の」兵器や軍事作戦の話題を,これでもか,と集めたのが本書です.斯界の第一人者,植木不等式氏の面目躍如といったところでしょうか.
 どれも,現代の私たちからはどこからどう見てもトンデモなものや,あるいは「理屈はわかるけど何か間違ってる」ようなものばかり.それでも,いずれも素人が趣味の範疇でDIYしていたようなものではなく,その時代には大真面目に追究されたり,信じられたりしていたものでした.この真面目さがとても切ない.修羅場となればもう藁にも超能力にもすがりたいという,戦争とはそういうものであるようです.
 なお,分量の都合上,削らざるを得なかった小ネタも多々あることをここに告白いたします.世界各国の墓場から「出すなよ」「よせったら」という抗議の声も(各国語で)聞こえてきそうですが,いずれ日の目をみる機会がありますように.
辻村希望

■ 関連書

● 『最終兵器の夢――「平和のための戦争」とアメリカSFの想像力』 H.ブルース・フランクリン/上岡伸雄 訳
● 『サイエンス・ファクション――疑り深い科学者のための宇宙旅行入門』 ヘーラルト・トホーフト/二宮正夫,二宮彰 訳
● 『疑似科学入門』【岩波新書】 池内了
● 『科学者に委ねてはいけないこと――科学から「生」をとりもどす』 尾内隆之,調麻佐志 編
● 『戦中用語集』【岩波新書】 三國一朗
植木不等式(うえき ふとうしき)
1958年東京生まれ.サイエンスライター.著書に『悲しきネクタイ』(地人書館/日本経済新聞社),『スピリチュアルワールド見聞記』(楽工社),『世紀末おとぎ話』(大和書房/アドレナライズ).共著に『トンデモ本の世界』シリーズ.訳書に『イスラームと科学』(パルヴェーズ・フッドボーイ著,勁草書房)ほか.

書評情報

婦人之友 2016年4月号
東京新聞(朝刊) 2015年10月4日
HONZ 2015年9月16日掲載
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