ダーウィンの遺産

進化学者の系譜

現代進化学に影響を及ぼし続ける「ダーウィンの遺産」を,衣鉢を継ぐ進化学者の系譜を辿りながら説き明かす.

ダーウィンの遺産
著者 渡辺 政隆
通し番号 77
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 自然科学・科学史
刊行日 2015/11/18
ISBN 9784000291774
Cコード 0345
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 232頁
在庫 品切れ
進化学の礎を築いたダーウィンの研究からは,遺伝学,生態学,動物行動学,形態学など様々な科学が生まれた.ベイトソン,フィッシャー,ホールデン,ハチンソン,ウィルソン,ドーキンス……「ダーウィンの遺産」がどのように発展し,現代進化学に影響を及ぼし続けているかを,衣鉢を継ぐ進化学者の系譜を辿りながら,説き明かす.


■編集部からのメッセージ
 みなさんはダーウィンと聞いて,どんなイメージをもたれるでしょうか.一度見たら忘れられない(?)外見のおかげもあって,「進化論の祖」というキャッチフレーズとセットで日本でもその知名度は抜群です.とはいえ,ダーウィンが生まれたのは今から200年以上も前の1809年.文字通り「過去の人」というイメージが強いかもしれません(ただ,ダーウィンが1835年にヴィーグル号でガラパゴス諸島から持ち帰ったゾウガメが,2006年まで生きてきたということを知ると,少し身近な印象になるでしょうか).
 ですが,ダーウィンは決して「過去の人」ではありません.本書を読めば,ジョージ・エヴリン・ハチンソンやリチャード・ドーキンスにまで連なる錚々たる進化生物学者の研究が,すべてダーウィンの切り拓いたフィールドのうえで展開されていることが,お分かりいただけるかと思います.ダーウィン(の業績)は,死してもなお現役なのです.
 語り手は,サイエンスコミュニケーターの第一人者である渡辺政隆さん.ダーウィン生誕200年にあたる2009年に『種の起源』を新訳したことは大きな話題となりました.日本でも多くのファンをもつ古生物学者スティーヴン・ジェイ・グールドの軽妙かつ味わい深い文章を日本語におきかえる名翻訳者としても知られる渡辺さんのナビゲートで,「進化学200年の旅」をお楽しみ下さい.
はじめに

第1章 ダーウィンの由来――遍歴時代
偉大な祖父/巨大な父/修業時代/ケンブリッジからの旅立ち/千載一遇/女王陛下のビーグル号/一大転機/亀の島/放蕩息子の帰還/表の顔と裏の顔

第2章 ダーウィン進化論の成立
進化をめぐる誤解/進化の展開/進化思想の歴史/機械論の登場から前進主義へ/ダーウィン登場前夜/斉一説の台頭/地質学者ダーウィンの起源/最後の一押し/反響や如何に/進化の枝分かれ/生命の系統樹

第3章 ダーウィン以後の進化論
ダーウィンのジレンマ/モラヴィアの修道士/遺伝の偶然と必然/メンデル像の有為転変/遺伝学の統合/関連分野の統合――進化の総合説の誕生/集団遺伝学の登場/ハクスリー家の遺産/総合説の一本化

第4章 進化生物学への展開――ナチュラリストの進化学
鳥類系統分類学/鳥類生態学/ダーウィン的生態学の復権/生態的地位概念の変遷/進化生態学から集団生物学へ/動物行動学から行動生態学へ/分子進化学/発生学から進化発生学へ

余話
脱宗教を果たした科学としての進化論/ブラックボックスから玉手箱へ


おわりに
人名索引
渡辺政隆(わたなべ まさたか)
1955 年生まれ.筑波大学教授・サイエンスコミュニケーター.専門は,科学史,進化生物学,サイエンスコミュニケーション.著書『一粒の柿の種』(岩波書店),『ダーウィンの夢』(光文社新書),『DNA の謎に挑む』(朝日選書),訳書『種の起源』(ダーウィン,光文社古典新訳文庫),『ワンダフル・ライフ』(グールド,ハヤカワ・ノンフィクション文庫)他多数.

書評情報

日経サイエンス 2016年3月号
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