梁啓超

東アジア文明史の転換

日本に亡命し辛亥革命直後に帰国した梁啓超は,日本体験を経て,中国に思想・学術上の大転換をもたらした.

梁啓超
著者 狹間 直樹
通し番号 87
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 歴史・伝記
刊行日 2016/04/19
ISBN 9784000291873
Cコード 0310
体裁 四六 ・ 並製 ・ 222頁
定価 2,200円
在庫 在庫僅少
変法維新運動の挫折後,日本に亡命し辛亥革命直後に帰国した梁啓超は,14年に及ぶ日本体験を経て,中国に政治・経済・教育・文学のあらゆる分野に,思想・学術上の大転換をもたらした.天才ジャーナリスト・希代の政論家は,祖国と国民をどう改造しようとし,進行する革命とどう関わり,驕慢になりゆく日本をどう見ていたのか.


■編集部からのメッセージ
 伝統中華を近代中国に変えた男
 変法維新運動が挫折した後1898年に日本に亡命し,辛亥革命直後の1912年に帰国した梁啓超(1873―1929).彼の事績を一言で表現するのはとても難しい.活躍した時期が,清末の維新改革,辛亥革命と中華民国の成立,日本の対中21か条要求,北伐と長く,その間,中国を取り巻く国内外の情勢は激しく揺れ動いた.活躍した分野も幅広い.近代的な語彙・文体を創造し,文学・思想・歴史などに関するおびただしい数の作品を著した.しかもその発表媒体となる雑誌を自ら日本で発行した.「中国」という国家概念,「中国人」という新たなネーションを創造したのも彼だといわれる.
 中国を同時代的感覚で捉えれば,歴史上の人物として革命家・孫文や建国の領袖・毛沢東のインパクトは大きいかもしれない.だが,20世紀の近代中国,さらに21世紀の大国化する中国という長期的視野からすれば,むしろ梁啓超の方が今日的影響力はおおきいのではないか.私はオビで彼のことを「改革開放の元祖」と命名することにした.長年,梁啓超を中心に中国の改革思想を研究してこられた狭間先生のご研究の総決算ともいうべき評伝である.
馬場公彦
序章
第一章 亡命――「思想一変」
1 政変と亡命
2 来日以前の梁啓超
3 東京での活動開始
4 言論活動
第二章 思想――国家主義
1 ハワイからオーストラリアへ
2 譚嗣同と『仁学』
3 『清議報』の功績
第三章 精神――「中国之新民」
1 『新民叢報』
2 「新民説」の公徳
3 「知」の新領域
4 立場の移動
第四章 行動――「代作」から論戦・運動へ
1 憲政視察報告の「代作」
2 革命派との論戦
3 「国会早期開設」運動
終章
参考文献
あとがき
狹間直樹 (はざま なおき)
1937年生まれ,京都大学文学部卒業,京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学.京都大学人文科学研究所教授を経て2001年定年退職.京都大学名誉教授,元京都産業大学特任教授.
『中国社会主義の黎明』(岩波書店,1976年) ,『五四運動研究序説』(「五四運動の研究」第1函第1分冊,同朋舎出版,1982年) ,『中国国民革命の研究』(編著,京都大学人文科学研究所,1992年) ,『共同研究 梁啓超』(編著,みすず書房,1999年) ,『西洋近代文明と中華世界』(編著,京都大学学術出版会,2001年) ,『近代東アジアにおける翻訳概念の展開』(共編著,京都大学人文科学研究所,2013年) 

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