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岡潔

数学の詩人

日本が生んだ世界的な数学者の,戦前から戦後にわたる秋霜烈日,孤高の思索の生涯を描く.

岡潔
著者 高瀬 正仁
通し番号 新赤版 1154
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 自然科学
刊行日 2008/10/21
ISBN 9784004311546
Cコード 0241
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 品切れ

岡潔(1901-78)は日本が生んだ世界的な数学者であり,心洗われるエッセイ集『春宵十話』の著者としても広く知られる.独創的な構想を生み,相次ぐ大発見に結実した人生と学問を,遺された研究ノートに追う.20世紀の数学に屹立する雄大なスケールの数学者の,秋霜烈日,孤高の思索の生涯を描く.

はじめに

一 お日さまの光
 生地と故郷/お日さまの光/境界問題/揺れる心/離れようとする心/ひと休み/第一の試み/北の涯の氷の山/実った思索と実らない思索/境界問題の回想/最後の高峰/ガストン・ジュリア/リーマンの定理/数学を構想する力/数学の発見を語る/数学の創造/理想を追い求める心/現代数学批判/アンドレ・ヴェイユ/ニコラ・ブルバキ
 コラム 多変数函数論のはじまり

二 留学と模索の日々
 留学/中谷治宇二郎/イテレーションとの別れ/小さな失敗/ジュリア先生の雷霆の叱責/ハルトークスの集合/帰国/フリードリヒ・ハルトークス

三 問題群の造型
 数学念仏道場/一枚のメモ/二つの流れ/アンリ・カルタン/ハインリッヒ・ベンケ/領域の理論/特異点研究の流れ/レビの不等式/レビの問題/未解決の主問題/E・E・レビ/オットー・ブルメンタール/ハルトークスの逆問題/上空移行の原理/問題群の造型/正体不明の一問題

四 情緒の世界
 広島事件/心に書く第二論文/数学の中の人生/岡の原理の発見/帰郷/第四論文/父との別れ/第五論文/ 「ひとつの判定例など」/カルタンの凸性/解けるとも解けないともわからない問題/ヨーロッパからのたより/太古のふるさと/一日一文/鳴門海峡/淡路福良への小旅行/夢幻観/学位論文/蛍狩り/情緒の世界/内分岐領域へ

五 響き合う数学の心
 ふる里は家なくて/不定域イデアルの理論/カルタンとベンケの手紙/大東亜戦争/壺中の別天地/突然の帰郷/郷里からのたより/第二報告と第三報告/最後の寄る辺/大戦下を生きる/戦中の五篇の論文/終戦/第七論文/奈良女子大学/数学の抽象化を悲しむ/カール・ルートヴィヒ・ジーゲル/響き合う数学の心

六 晩年の思索
 打ち続く講演旅行/晩年の遺稿「リーマンの定理」/新代数函数論に向かって/最後の研究/春雨の曲/天衆の挨拶を受ける

あとがき
年 譜
高瀬正仁 (たかせまさひと)
 昭和26年(1951年),群馬県勢多郡東村(現,みどり市)に生れる.
 数学者,数学史家.専攻は多変数函数論と近代数学史.歌誌「風日」同人.
 著書─『dx と dy の解析学』(日本評論社)
    『評伝岡潔 星の章』『評伝岡潔 花の章』(以上海鳴社)
 翻訳書─『ガウス整数論』『アーベル/ガロア楕円関数論』(以上朝倉書店)
     『オイラーの無限解析』『オイラーの解析幾何』『数の理論』(以上海鳴社)

書評情報

信濃毎日新聞(朝刊) 2009年2月8日
本の雑誌 2009年2月号
現代 2009年1月号
西日本新聞(朝刊) 2008年11月27日
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