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電気料金はなぜ上がるのか

相次ぐ電気料金の値上げ.隠された原発コスト,総括原価方式の弊害,国と業界の不適切な関係を解き明かす.

電気料金はなぜ上がるのか
著者 朝日新聞経済部
通し番号 新赤版 1438
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 経済
刊行日 2013/08/21
ISBN 9784004314387
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 216頁
在庫 品切れ
原発事故後に相次ぐ電気料金の値上げ.「原発が止まり,火力発電の燃料費が増えたから」.この説明は本当なのだろうか.隠された原発コスト,総括原価方式と地域独占の弊害,経産省と業界の不適切な関係などを一つずつ解き明かし,値上げの裏に潜む問題の本質に迫る.朝日新聞の大好評連載「教えて! 電気料金」を再構成し,大幅加筆.
はじめに

第1章 隠された原発コスト
 値上げが必要な本当の理由/ 「燃料費で値上げ」のまやかし/ 「基本料金」の内訳──止まった原発でも八割/原発維持費に一兆四〇〇〇億円/賠償金支払いの仕組み/値切った電力会社/原発賠償を渋る東電/本当のコスト/見えない税金──「原発促進税」/自然エネルギーの負担/浮いた燃料代分だけ負担/東電はどうなるのか/ 「再値上げ」への道/ 「いつか来た道」へ

第2章 電気料金の仕組み──「原価」とは何か
 「原価」は適正か/何を原価にするか/一〇年で六〇〇〇億円/ 「事業報酬」のからくり/過大な自己資本比率/肥大化する発電用資産/変わらない「習性」/巨額の広告費/もうけの多くは家庭から/給料は高すぎないか/厚生費まで/アベノミクスで上がる電気料金/燃料費調整の「裏技」/シェールガス革命/燃料費の正体/原発処理の費用はどこから?

第3章 電気料金はどこへ行くのか──「核燃料サイクル」という錬金術
 原発と核燃料サイクル/MOX燃料の値段/火力発電との比較/その場しのぎの「プルサーマル」/中断した計画──データ捏造、東電トラブル隠し事件/ 「原発マネー」頼み/原発マネーに揺れた浜岡原発/英国、再処理打ち切りへ/ 「やらせ」もプルサーマルから/核のゴミ、一本一億二二〇〇万円也/年一回の航海でも必ず黒字/分配の仕組み/完成前から年間三〇〇〇億円/すでに三割を使用/一九兆円かけて九〇〇〇億円/三・五兆円を運用する天下り法人

第4章 電力業界の思惑──再稼働、原発輸出、電力自由化
 「脱原発」か「続原発」か/ 「原子力ムラ」の「緊急提言」/懇談会の母体/原発ルネッサンス/トップセールス/再稼働を求める声/経産官僚の関与/ 「職員が清書した」/発送電分離はなぜ必要か/所有権分離、機能分離、法的分離/接待漬け官僚の告白/旧通産省の方針転換/経産省の挫折/電力業界の巻き返し/送電網をめぐる攻防/発送電分離でどうなるのか/通信の自由化から学ぶこと/公取委の役目

終 章 廃炉という難題、そしてその先へ
 なぜ廃炉をためらうのか/老朽原発/東海原発、廃炉に八八五億円/二基で特別損失一五三六億円/発電した分しか積み立てない/一七〇〇億円の積み立て不足/“不良債権”としての原発処理/待ちわびる電力業界/負担はどこへ/官僚が準備した「値上げシナリオ」/天下り/時計の針は戻るのか/新たな地場産業に/自由化はマンションから/電話会社も参入

あとがき
朝日新聞経済部 (あさひしんぶんけいざいぶ)
 日々の経済報道を担いながら,大企業の「追い出し部屋」の存在を明らかにした「限界にっぽん」シリーズや,「アベノミクスって,なに?」「けいざいSHINWA」など多くの連載企画を手がけている.
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