電子書籍対応

原発と大津波 警告を葬った人々

なぜ,地震学の科学的知見は,原発設計やその後の補強に活かされなかったのか.その詳細を克明に描く.

原発と大津波 警告を葬った人々
著者 添田 孝史
通し番号 新赤版 1515
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 社会
刊行日 2014/11/20
ISBN 9784004315155
Cコード 0236
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 222頁
在庫 在庫あり
科学の粋を集めたはずの原子力産業.しかし,そこでは地震学の最新の科学的知見が活かされなかった.地震学の進化過程において,その後のプレートテクニクス理論導入において,どのような議論で「補強せず」の方針が採られたのか,科学ジャーナリストが詳細に明かす.そして今,新基準による判定がその反省に立脚しているのか,真摯に問う.
プロローグ

序 章 手さぐりの建設
 プレートテクトニクス理論以前の時代/揺れには三倍の余裕──「原発と地震」の歴史/五五キロ遠方の、わずか一二年分の津波データで設計/大津波の言い伝え──女川原発はなぜ助かったのか/バックチェックの仕組みなし/本書の構成

第1章 利益相反──土木学会の退廃
 電事連資料/北海道南西沖地震/七省庁手引き/数値解析の誤差/土木学会津波評価部会/土木学会手法の策定手続きにおける問題/対策は二〇センチ/首藤氏に聞く

第2章 連携失敗──地震本部と中央防災会議
 阪神・淡路大震災の教訓/地震本部の設立/日本海溝の津波地震/中央防災会議の「長期評価つぶし」/不可解な中央防災会議の動き/東電から圧力はあったか/専門家の意見は分かれていたのか/ばらばらだった

第3章 不 作 為──東電動かず
 二五年前──地層に残された「警告」(一九八六年)/一七年前──ずさんな想定見直し(一九九四年)/九年前──見えていた二つの津波(二〇〇二年)/明かせない訳(二〇〇二年)/確率でごまかす(二〇〇六年)/一五・七メートル──津波地震を「想定せよ」(二〇〇八年)/貞観津波の正体(二〇〇九年)/地元を騙す(二〇一〇年)/四日前の「お打ち合わせ」

第4章 保 安 院──規制権限を行使せず
 三つの不作為(二〇〇〇~〇二年)/担当課長「揺れが重要課題だった」/危機感抱いていた職員も/海外のアクシデント例を生かさず/安全性再検討(バックチェック)の遅れ/徹底した情報隠し

第5章 能力の限界・見逃し・倫理欠如──不作為の脇役たち
 福島県、「M八津波」想定したのに動かず/津波地震「無視するのも一つ」と助言した地震本部委員長/ 「原発はタブー」だった地震学者/日本初の倫理綱領が生きなかった土木学会/メディア1 「想定外」を生み出す構図追えず/メディア2 度重なる手がかりの見逃し/メディア3 吠えない「番犬」

終 章 責任の在処
 事故調の限界/証拠出し渋る規制委員会/基礎的な事実を確かめない検察/検察審査会の明快な判断/裁判への期待と限界/それぞれの立場で巧妙な責任回避/ 「安全文化」でごまかす/川内原発が繰り返す過ち/ホイッスルを吹きやすくする仕組み

エピローグ
添田孝史 (そえだたかし)
 1964年生まれ.大阪大学大学院基礎工学研究科修士課程修了.サイエンスライター.1990年朝日新聞社入社.大津支局,学研都市支局を経て,大阪本社科学部,東京本社科学部などで科学・医療分野を担当.97年から原発と地震についての取材を続ける.2011年に退社,以降フリーランス.東電福島原発事故の国会事故調査委員会で協力調査員として津波分野の調査を担当した.

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2015年12月13日
週刊金曜日 2015年9月18日号
朝日新聞(朝刊) 2015年8月20日
全国商工新聞 2015年3月16日
しんぶん赤旗 2015年3月15日
毎日新聞(朝刊) 2015年1月25日
公明新聞 2015年1月19日
東京新聞(朝刊) 2014年12月28日

受賞情報

科学ジャーナリスト賞2015
第3回日隅一雄・情報流通促進賞 大賞(2015年)

この商品に関するお知らせ

電子書籍

価格は各電子書籍書店にてご確認ください

ページトップへ戻る