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村上春樹は,むずかしい

つねに時代と対峙しながら作品を産み出してきた,本当の村上春樹にはじめて出会える画期的な村上論.

村上春樹は,むずかしい
著者 加藤 典洋
通し番号 新赤版 1575
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 文学
刊行日 2015/12/18
ISBN 9784004315759
Cコード 0293
体裁 新書 ・ 並製 ・ カバー ・ 266頁
在庫 品切れ

はたして村上文学は,大衆的な人気に支えられる文学にとどまるものなのか.文学的達成があるとすれば,その真価とはなにか――.「わかりにくい」村上春樹,「むずかしい」村上春樹,誰にも理解されていない村上春樹の文学像について,全作品を詳細に読み解いてきた著者ならではの視座から,その核心を提示する.

はじめに 野球帽をかぶった文学?

第1部 否定性のゆくえ 1979─87年

Ⅰ 否定性と悲哀──『風の歌を聴け』の画期性
 1 肯定性の肯定──「気分が良くて何が悪い?」
 2 「新しい天使」と風の歌

Ⅱ 戦う小説家──初期
 3 中国へのまなざし──「中国行きのスロウ・ボート」
 4 貧しい人々と小さな隣人──「貧乏な叔母さんの話」
 5 「内ゲバ」の死者への関心──「ニューヨーク炭鉱の悲劇」

Ⅲ 個の世界──前期
 6 ポストモダン社会と抵抗──「パン屋襲撃」と「パン屋再襲撃」
 7 否定性から内閉性へ──『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と「ファミリー・アフェア」

第2部 磁石のきかない世界で 1987─99年

Ⅳ 対の世界──中期
 8 恋愛小説の誕生──『ノルウェイの森』
 9 『ねじまき鳥クロニクル』の歴史記述

Ⅴ 時代とのせめぎあい──転換期
 10 一九九五年の態度変更──「めくらやなぎと、眠る女」
 11 村上春樹、武装解除される──『アンダーグラウンド』

第3部 闇の奥へ 1999─2010年

Ⅵ 父と子の基軸──後期
 12 もっと小さく、もっと遠く。──『スプートニクの恋人』と『神の子どもたちはみな踊る』
 13 換喩と異界と「全体的な喩」──『海辺のカフカ』と『アフターダーク』
 14 まだ書き終えられていないこと──『1Q84』

終りに 「大きな主題」と「小さな主題」──三・一一以後の展開
あとがき
加藤典洋 (かとうのりひろ)
 1948年山形県生まれ.東京大学文学部仏文科卒業.
 現在,文芸評論家,早稲田大学名誉教授.
 著書─『言語表現法講義』(岩波書店,第10回新潮学芸賞)
    『敗戦後論』(ちくま学芸文庫,第9回伊藤整文学賞)
    『小説の未来』『テクストから遠く離れて』(朝日新聞社/講談社,両著で第7回桑原武夫学芸賞)
    『僕が批評家になったわけ』(岩波書店)
    『さようなら,ゴジラたち──戦後から遠く離れて』(岩波書店)
    『3.11 死に神に突き飛ばされる』(岩波書店)
    『ふたつの講演 戦後思想の射程について』(岩波書店)
    『吉本隆明がぼくたちに遺したもの』(岩波書店,共著)
    『人類が永遠に続くのではないとしたら』(新潮社)
    『戦後入門』(ちくま新書)など,多数.

書評情報

東京新聞(夕刊) 2019年7月2日
しんくみ(全国信用組合中央協会) 2017年2月号

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