吉田茂と岸信介

自民党・保守二大潮流の系譜

敗戦国日本,“豊かさ”か“自立”か? この人間のせめぎ合いの実像を解明せずして,政治の本質は見抜けない.

吉田茂と岸信介
著者 安井 浩一郎 , NHKスペシャル取材班
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2016/07/26
ISBN 9784000254694
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 並製 ・ 220頁
定価 1,980円
在庫 在庫僅少
敗戦国日本, “豊かさ”か“自立”か? 二人の首相,それぞれの信念と選択,国民の挫折と希望.そのとき,政治に何ができたのか? 新発見の資料と共に,戦後史,そして現在の自民党政治へとつながる潮流をたどる.吉田と岸の攻防,それは政策の選択であると同時に,人間感情の相克によって生まれたものでもあった.この人間のせめぎ合いの実像を解明せずして,政治の本質は見抜けない.田原総一朗・御厨貴両氏の対談も収録.


■編集部からのメッセージ
 現在も政権与党の位置にあり,戦後長きにわたり首相を輩出してきた自民党.この党の政治はすなわち戦後日本の政治でもあります.そうした自民党の政治は,二人の政治家の存在なしには語れません.吉田茂(1878-1967)と岸信介(1896-1987).
 戦前から政治に携わってきた二人にとっての戦争・占領期の経験,それぞれが抱く国家像は,そのまま戦後の政治理念と実際の行動に色濃く反映されました.アメリカに日本防衛を依存した“軽武装”によって,経済成長を最優先した吉田の“豊かさ”路線,GHQ主導で形成された国家体制からの脱却を主張,独立の完成を目指した岸の“自立”路線.
 何を取るか,何を留保するか? 国民はいま何をもっとも求めているのか? 国民の声をどう聞くのか,声なき声はどこにあるのか? それぞれの選択の経緯,そしてその選択を下支えしたそれぞれの理念形成の背景を,本書では,あらたに発見された手帳やスケジュール表,書簡,証言などの資料を補助として読み解き,二つの路線,さらには二人の人間のあいだにあった駆け引き,挫折,妥協の実態が政治を決定していった過程を解明するものです.
 政治は人がつくる.人が政治をつくる.その人間臭さ,生き様,理念,思想が国民と共有されていた戦後自民党政治.いまの政治は何が共有されているといえるのでしょうか? その潮流の変化はどこにあったのでしょうか?
 政治のダイナミズムを体感できる書籍として,そして現在の政治には何が失われているのか,私たちは何を見過ごしてしまったのか,考える一助となる書籍として,ご期待ください.
まえがき
序 始まりは焦土から

I 奔流する二つの系譜〈終戦~一九五五年〉
1章 吉田茂の権勢――始まった"戦後政治"
2章 岸信介の鬱屈――禅寺の書に秘めた思い
3章 せめぎ合う二大潮流――そして保守合同へ

II 岸の秘めた改憲構想、そして挫折〈一九五七年~一九六〇年〉
4章 安保改定――"自立"への一里塚85
5章 揺らぐ政権基盤――吉田の逆襲
6章 空前の規模に拡大した安保闘争――改憲構想の挫折

III "豊かさ"が"自立"を飲み込んでいく、しかし……〈一九六〇年~一九八〇年代〉
7章 高度成長――政治の季節から経済の季節へ
8章 底流に流れ続けていた"自立"路線

おわりに 混迷と模索の時代へ

対談 戦後政治における二大潮流とは――御厨貴×田原総一朗


あとがき
ページトップへ戻る