戦後ドイツの抗議運動

「成熟した市民社会」への模索

政治や社会を変えてきた「抗議文化」の歴史をたどる

戦後ドイツの抗議運動
著者 井関 正久
通し番号 90
ジャンル 書籍 > 岩波現代全書 > 政治・経済・現代社会
刊行日 2016/06/17
ISBN 9784000291903
Cコード 0322
体裁 四六 ・ 並製 ・ 234頁
在庫 品切れ
環境・反原発・反核平和・女性運動――なぜドイツでは日本と異なり,デモをはじめとするカウンター・デモクラシーが日常生活に根付いているのだろうか.冷戦下の政治社会状況に対する東西ドイツ市民の異議申し立てから始まり,統一を経て,難民受け入れ反対運動に揺れる現在まで,政治や社会を変えてきた「抗議文化」の歴史をたどる.

■編集部からのメッセージ

2015年の安全保障関連法案をめぐる動きのなかで,国会前デモなどの抗議運動をはじめとする,いわゆるカウンター・デモクラシー(選挙以外の手段での民意の表明)が脚光を浴びました.しかし,あれだけの大きな反対の声にもかかわらず,結局は法律が成立したこともあり,日本における実効性に関しては,懐疑的な見方も根強くあります.
 脱原発や反核・平和運動など,カウンター・デモクラシーの「先進国」として知られるドイツですが,デモなどの抗議運動が最初から有効に機能していたわけでは決してありません.冷戦下の東西ドイツにおける様々な試みと挫折の歴史のうえに今のドイツがあること,そしてそのドイツが,難民受け入れ反対などを叫ぶ新たな「抗議運動」にゆれていること――本書には,カウンター・デモクラシーを一過性に終わらせず,日本社会に根付かせるためのヒントがつまっています.ぜひご一読下さい.
吉田浩一

■ 関連書


● 『ヴァイマル憲法とヒトラー――戦後民主主義からファシズムへ』【岩波現代全書】 池田浩士
● 『私たちの声を議会へ――代表制民主主義の再生』【岩波現代全書】 三浦まり
● 『多文化であることとは――新しい市民社会の条件』【岩波現代全書】 宮島喬
● 『沖縄戦後民衆史――ガマから辺野古まで』【岩波現代全書】 森宣雄
● 『焼跡からのデモクラシー――草の根の占領期体験(上・下)』【岩波現代全書】 吉見義明
井関正久(いぜき ただひさ)
1969年生.1999年ベルリン自由大学博士号(Dr. phil.)取得.ドイツ現代史.東京大学DESK(ドイツ・ヨーロッパ研究室)助手等を経て,現在,中央大学法学部教授.
著書に『ドイツを変えた68年運動』白水社.共著書に『国民国家の境界』(加藤哲郎・小野一・田中ひかる・堀江孝司編)日本経済評論社,『戦後日本社会の歴史3 社会を問う人びと』(安田常雄編)岩波書店,『越境する一九六〇年代』(油井大三郎編)彩流社,『戦後日独関係史』(工藤章・田嶋信雄編)東京大学出版会など.
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