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岩波科学ライブラリー

なぜ蚊は人を襲うのか

アフリカの大地では巨大蚊柱と格闘し,かたや研究室では万単位の蚊を飼育する.そんな著者だから語れる蚊の知られざる奇妙な生態.

なぜ蚊は人を襲うのか
著者 嘉糠 洋陸
通し番号 251
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 岩波科学ライブラリー
書籍 > 岩波科学ライブラリー > 生態・環境
日本十進分類 > 自然科学
シリーズ 岩波科学ライブラリー
刊行日 2016/07/14
ISBN 9784000296519
Cコード 0345
体裁 B6 ・ 134頁
在庫 在庫あり
オスと交配したメス蚊だけがまさに人を襲うバンパイアと化し,ときに恐るべき病原体を人の体内に注入.吸血された人を《患者》というものに変えてしまう.アフリカの大地で巨大蚊柱と格闘し,アマゾンでは牛に群がる蚊を追う.かたや研究室で万単位の蚊を飼育.そんな著者だからこそ語れる蚊の知られざる奇妙な生態の数々.

■編集部からのメッセージ

蚊
©いずもり・よう
ジカ熱,デング熱など,蚊が媒介する病気はけっしてあなどれない.最悪の場合には命を落とすこともある.特別な蚊ではなく,どこにもでもいるヒトスジシマカやその仲間だ.マラリア原虫を運ぶのは,ハマダラカという別の種類だが,いまや気候変動の影響もあり,その危険範囲は北半球の高緯度地域にまで広がっている.
しかし,そもそも「なぜ襲うのか」.調べてみると,まったく人を襲わない蚊もいれば,吸血すらしない蚊もいる.そして,マラリア原虫を媒介するハマダラカですら,オス蚊は人を襲わない.何千と飛び交うオス蚊だらけの飼育箱に無防備な腕を突っ込んでも,どうやっても蚊は吸いついてくれない.じつは,交配したメス蚊だけが,吸血しにやってくる.しかも夜間だけ? なぜか.
一方で,マラリア原虫のような恐ろしい病原体を運んでいて,よく蚊は平気でいられるのはなぜだろう? そこはよくしたもので,病原体が体内に入っても,ちゃんとそれに抵抗するうまい仕組みが蚊には備わっているのだ.それ以上に,病原体をもつ蚊のほうが,より吸血能力をもつ場合もあるらしい.
この本を読むと,だんだん憎らしかった蚊が,どことなく愛らしく思われてくるだろう.知られざる蚊の生態の不思議さについて,最新の研究をご紹介する.
 はじめに
1 その蚊,危険につき
2 蚊なりのイキカタ
3 標的を発見!
4 蚊が血を吸うわけ
5 病気の運び屋として
6 蚊との戦いか,共存か
 あとがき

【コラム】
フィラリアと西郷隆盛/結婚の若年齢化?/迷惑なタッグ/寺田寅彦と蚊/蚊の役割の最終証明/邪魔立てをするもの
嘉糠洋陸(かぬか ひろたか)
1973年山梨県に生まれる.1997年東京大学農学部獣医学科卒業.2001年大阪大学大学院医学系研究科博士課程修了,博士(医学).理化学研究所,米国スタンフォード大学などを経て,2005年帯広畜産大学原虫病研究センター教授.2011年から東京慈恵会医科大学熱帯医学講座教授.2014年から同大学衛生動物学研究センター長を兼任.専門は,衛生動物学,寄生虫学.

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