岩波ブックレット 955

ディーゼル車に未来はあるか

排ガス偽装とPM2.5の脅威

排ガス偽装などの不正はなぜなくならないのか.事件の背景と,知られざる排ガス粒子の危険性に迫る.自動車の未来を考える.

ディーゼル車に未来はあるか
著者 杉本 裕明 , 嵯峨井 勝
通し番号 955
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 環境
シリーズ 岩波ブックレット
刊行日 2016/07/05
ISBN 9784002709550
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 80頁
在庫 品切れ
PM2.5など体に有害な粒子を含む自動車の排気ガス.規制強化や技術革新が進み,低燃費も評価されてディーゼル乗用車の販売台数は急上昇だが,メーカーの不正発覚も相次ぎ,業界全体の体質が問われている.規制する側・される側の奮闘の歴史を振り返り,排ガスがもたらす健康被害のメカニズムを明らかにする.


■著者からのメッセージ
 自動車は私たちの生活になくてはならない便利な移動の道具だ.しかし,便利さの陰には負の側面もある.排ガスによる健康影響もその一つだ.なかでもディーゼル車は,粒子状物質(PM)と呼ばれる有害物質を排出する.ディーゼル車は,黒煙をまき散らす汚いイメージの代表だったが,その後排ガスの規制強化が進み,低燃費が評価され,「クリーンディーゼル」としてもてはやされている.
 しかし,そこにドイツのフォルクスワーゲン車の排ガス偽装問題が噴出し,ディーゼル車に向ける人々の視線が厳しくなっている.ディーゼル車は本当に環境に優しいのか,今後も生き残ることができるのか.そんな疑問をもとに,排ガスの排出実態を明らかにするとともに,排ガスに含まれる粒子状物質が健康にどのような悪影響を与えるのか,最新の知見をもとに書き上げたのが,この本である.
 みなさんが車と車社会を考える一助となれば光栄である.
(本文より)
はじめに
第1章 フォルクスワーゲン事件はなぜ起きたか
第2章 ディーゼル車とはどんな車か
第3章 日本版マスキー法からディーゼル車規制へ
第4章 ディーゼル排ガス,PM2.5はこんなに危険
おわりに――ディーゼル車の未来とエコカー
杉本裕明(すぎもと・ひろあき)
1954年生まれ.ジャーナリスト.元・朝日新聞記者.著書に『ルポ にっぽんのごみ』(岩波新書),『社会を変えた情報公開――ドキュメント・市民オンブズマン』(花伝社),『環境省の大罪』(PHP研究所),『赤い土(フェロシルト)――なぜ企業犯罪は繰り返されるのか』『環境犯罪――7つの事件簿から』(以上,風媒社)など.

嵯峨井勝(さがい・まさる)
1943年生まれ.北海道大学大学院薬学研究科博士課程修了.国立環境研究所総合研究官などを経て,青森県立保健大学名誉教授.著書に『酸化ストレスから身体をまもる――活性酸素から読み解く病気予防』『安全な空気を取り戻すために――目に見えない排ガス汚染の恐ろしさ』(以上,岩波書店),『PM2.5 危惧される健康への影響』(本の泉社),『これでわかる ディーゼル排ガス汚染』(合同出版)など.

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