電子書籍対応

自由民権運動

〈デモクラシー〉の夢と挫折

憲法を待ちつづけて

自由民権運動
著者 松沢 裕作
通し番号 新赤版 1609
ジャンル 書籍 > 岩波新書 > 日本史
刊行日 2016/06/21
ISBN 9784004316091
Cコード 0221
体裁 新書 ・ 並製 ・ 246頁
在庫 在庫あり

維新後,各地で生まれた民権結社.それは〈デモクラシー〉に夢を託した人びとの砦であった.新しい社会を自らの手で築く.その理想はなぜ挫折に終わったのか.旧来の秩序が解体してゆくなかで,生き残る道を模索する明治の民衆たち.苦闘の足跡が,いまの日本社会と重なって見えてくる.

はじめに

第一章 戊辰戦後デモクラシー
 一 戦場での出会い
 二人の人物/慶応四年・三春藩
 二 それぞれの戊辰戦後
 河野広中の藩政改革運動/板垣退助の凱旋/家格への執着/ 「人民平均」
 三 暴力の担い手たち
  「破落戸」の軍隊/尾張藩草莽隊
 四 近世身分制社会とその解体
 身分制社会とはなにか/やぶれた「袋」/改革の時代/征韓論政変/板垣の危機感/戊辰戦後デモクラシー

第二章 建白と結社
 一 民撰議院設立建白書の衝撃
 民撰議院設立建白書の提出/民撰議院論争/自由民権運動の出発
 二 わりこむ運動
 結社という「袋」/士族の結社──立志社/河野広中と結社/区長、戸長たちと結社──七名社/愛国社の設立/大阪会議と通諭書事件/西南戦争と「わりこむ運動」の挫折

第三章 「私立国会」への道
 一 ひろがる結社
 愛国社の再興/筑前共愛会/蚕糸業と結社──群馬/村と結社──越前/都市知識人の結社──交詢社/演説会と新聞の結社──嚶鳴社/演説会/撃剣会/ 「参加=解放」型幻想──愛国交親社/新しい社会の模索
 二 国会開設運動から私立国会へ
 国会開設請願をめぐる対立/国会期成同盟第一回大会/集会条例/国会開設願望書の受付拒否/ 「私立国会」か請願か/二つの対立軸/政党結成をめぐる対立/政党結成へ/私擬憲法/植木枝盛の憲法案/大日本帝国憲法との相違点/宙に浮く私立国会と私擬憲法

第四章 与えられた舞台
 一 転機としての明治一四年
 明治一四年の政変/政府内の憲法構想/開拓使官有物払下げ問題/自由党の結成
 二 府県会という舞台
 地方三新法/土佐州会/立憲改進党と府県会
 三 福島事件
 福島事件とは/県会の開会/議案毎号否決/会津三方道路/喜多方事件/福島自由党の動向/事件の構図
 四 迷走する自由党
 板垣洋行問題/偽党撲滅

第五章 暴力のゆくえ
 一 激化事件
 武装蜂起に向かう民権家たち/秋田事件/ 「参加=解放」型幻想と私立国会論の共鳴/急進的活動家たちの登場/加波山事件/民権家と博徒
 二 自由党の解党
 一〇万円募金計画/ 「武」を否定できない党指導部/解党へ
 三 秩父事件
 発端/蜂起/鎮圧/負債農民騒擾としての秩父事件/ 「天朝様」への敵対

終 章 自由民権運動の終焉
 自分たちの手で/朝鮮へ/星亨/憲法を待ちつづけて

おわりに
文献解題
松沢裕作 (まつざわゆうさく)
 1976年 東京生まれ
 1999年 東京大学文学部卒業,2002年同大学院人文社会系研究科博士課程中途退学,東京大学史料編纂所助教,専修大学経済学部准教授を経て,
 現在─慶應義塾大学経済学部准教授
 専門─日本近代史,とくに近世・近代移行期の村落社会史研究
 著書─『町村合併から生まれた日本近代──明治の経験』講談社選書メチエ,『重野安繹と久米邦武』山川出版社,『明治地方自治体制の起源──近世社会の危機と制度変容』東京大学出版会,「地方自治制と民権運動・民衆運動」『岩波講座 日本歴史第15巻 近現代1』岩波書店ほか

電子書籍

価格は各電子書籍書店にてご確認ください

ページトップへ戻る