増補 幕末百話

幕末維新を目のあたりにした古老たちの話は想像もつかない面白いことずくめ.日本社会の激変ぶりを語る実話集.

増補 幕末百話
著者 篠田 鉱造
通し番号 青469-1
ジャンル 書籍 > 岩波文庫 > 青(歴史・地理)
日本十進分類 > 歴史/地理
刊行日 1996/04/16
ISBN 9784003346914
Cコード 0121
体裁 文庫 ・ 並製 ・ カバー ・ 330頁
定価 990円
在庫 在庫あり
明治も半ば,篠田鉱造(1871-1965)は幕末の古老の話の採集を思い立った.廃刀から丸腰,ちょんまげから散切,士族の商法,殿様の栄耀,お国入りの騒ぎ,辻斬りの有様,安政の大地震,道具の投売……幕末維新を目のあたりにした人々の話は,想像もつかない面白いことずくめだった.日本社会の激変期を語る貴重な証言集.(解説=尾崎秀樹)


■内容紹介
 昭和三年は戊辰六十年にあたった.そのためか幕末維新に関する回顧談や史話,それに幕末維新を背景とした時代小説などがあいついで刊行された.……(中略)明治維新から六十年を経て,やっと事柄は歴史になろうとした.古老も世を去り,当時の壮者がようやく老齢にさしかかり,次の時代に語りのこしておく歴史の体験を多く蔵していた.同好史談会などが組織され,維新当時のことを語り合い,古老から談話を聞き,それを記録することも行われた.篠田鉱造もその一員だった.……(中略)
 『幕末百話』は特別に歴史を解明しようといった意図に基づいた企画ではなく,それこそおもしろそうな話が聞けそうだと思われる人を,東奔西走して訪ねまわって話を聞き出したものである.それが百話にまとまると,かえって多様性にとみ,社会各層の諸側面を語ることになり,おもしろみも加重される.……(後略)
(尾崎秀樹 「解説」より)
■幕末百話
一 江戸の佐竹の岡部さん
二 上野山門に屯集の賊徒ども
三 縁の下の力持(芝居の小道具)
四 水戸御用千住の鬼熊
五 江戸勤番むかし懺悔
六 正月二十日初御成
七 近世名優病気の田之助
八 江戸仙台馬術の修行
九 大名大奥御老女の事
十 因縁探偵羅漢の殺人
十一 近世俳優時計の腹探
十二 御用出役異人の護衛
十三 武士気質由緒の具足
十四 将軍の御召料御茶壺
十五 昔の決闘室岡新十郎
十六 三つ人魂団十郎の実家
十七 昔の町人命拾い
十八 天意人言江戸の落首
十九 芝翫の家庭籠の雀と猫のお玉
二〇 大昔の話安政の大地震
二一 徳川時代御大名の寝間
二二 御茶壺の御附旅日記
二三 音羽屋の滑稽旅芝居
二四 江戸の夜江戸の物騒
二五 両国橋上老人の生活
二六 彰義隊の一人引張出され党
二七 江戸の花加賀鳶の喧嘩
二八 横浜芸妓の一昔前
二九 幕府の歩兵(綽名茶袋)
三〇 お屋敷薩摩の大奥
三一 ズバヌケた女国定忠治の妾
三二 大名の大部屋下馬の闘い
三三 南北の町奉行昔の裁判所
三四 むかしばなし御鷹匠の事
三五 狐つきのお話神田の能勢様
三六 渡り祐筆筆舐ピン子
三七 女太夫と袈裟懸けの辻斬り
三八 貧乏酒井の用人征伐
三九 大火傷のあと夜の行列
四〇 横浜裁判所の引渡し
四一 御関所女手形御手判
四二 江戸瓦解前の貧窮組
四三 高崎通い郵便御用早馬車
四四 鳶細川の家中芝居の人斬
四五 調練の太鼓関口と白石
四六 吉原通い武士の狂言
四七 維新以降馬車の乗初
四八 探偵実話強盗医者
四九 昔の交番「堀の辻番」
五〇 江戸名物折助の生活
五一 左団次の養母おことさん
五二 一と昔前の吉原通い
五三 黒船土産大コロリ
五四 旧幕歩兵洋服の変化
五五 袖の下時代御数寄屋坊主
五六 浮世床ちょんまげ話
五七 お姫様の御臨終
五八 銀座評判松田の二人斬
五九 老人の記憶辰歳のあらし
六〇 維新前後刀商人と西洋人
六一 御成街道真夜中騒ぎ
六二 旗本の制裁小普請人
六三 丑歳の火事と百人一首
六四 出羽の道楽隠居
六五 家督御礼の献上物
六六 亥年の張札天誅紙
六七 血判祈誓文のお話
六八 昔の新聞紙と外交
六九 伊藤軍兵衛の話
七〇 弓馬槍剣是武芸
七一 公方様悪口の祟り
七二 昔風な本町の奥向
七三 献上御松茸の御用
七四 世にも二つの愕き
七五 日光例幣使の話
七六 清国に似た日本
七七 縁切と縁結び
七八 昔の刑事の話
七九 昔の御馳走ばなし
八〇 鈴木藤吉郎の話
八一 本郷た組の平三
八二 富岡屋吉右衛門
八三 撃剣修行の道場
八四 御一新前後の肉食
八五 桜田門外血染の雪
八六 上野戦争靖共隊の一老
八七 役僧と二分の役徳
八八 大名の御婚礼
八九 森本岡右衛門
九〇 門閥打破(陸軍の濫觴)
九一 林田小右衛門(稗蒔の元祖)
九二 脇差刀と見せ羽織
九三 三田騒動薩州邸討入(上)
九四 三田騒動薩州邸討入(下)
九五 殿様のお供で道中
九六 糸店丁子屋(附たり昔の小僧)
九七 両国橋の懐旧談
九八 大名と雪隠
九九 伏見鳥羽の戦後話
一〇〇 九条家の昔


■今戸の寮
一 錦絵のような生活
二 人力に曳殺される
三 看板娘菊ちゃん
四 全盛期と没落期
五 三色の旗を立てる
六 寮へ田之助一座
七 その時の褒詞
八 刀とぎが米とぎ
九 寮の日がな一日
十 弥生の節句
十一 根こそぎ真綿で
十二 金口は旨くない
十三 変な符牒みたい
十四 女医附のお芝居
十五 白魚のかげ干し
十六 御苦労に存ずる
十七 相乗二人曳後押
十八 お前の旦那様
十九 下手な呉服店ぐらい
二〇 大御新造の述懐
二一 おはちを背負て
二二 大道へ古本並べ
二三 モシお忘れもの
二四 道化のはらみ女
二五 靴の音の小倉庵
二六 中島座の面灯
二七 隣家は贋金使い
二八 浜中屋と私共
二九 離れ鴛鴦の別居
三〇 何たるみじ目さ
三一 夜具三枚が真綿
三二 鬢を持揚て洗う
三三 八百屋の取肴
三四 綽名三島オコゼ
三五 植半で名乗らず
三六 ヤドとは何です
三七 惣菜では上れぬ
三八 眼千両魚島の娘

幕末百話の後に題す (武田鶯塘)
解説 (尾崎秀樹)

書評情報

THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい「この一冊」 (2012年8月)
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