思想と動くもの

思索の記録,思想的骨格を示す8篇.(解説=木田元)

思想と動くもの
著者 ベルクソン , 河野 与一
通し番号 青645-4
ジャンル 書籍 > 岩波文庫 > 青(哲学・教育・宗教)
日本十進分類 > 哲学/心理学/宗教
刊行日 1998/09/16
ISBN 9784003364543
Cコード 0110
体裁 文庫 ・ 並製 ・ カバー ・ 436頁
在庫 品切れ
分析と科学,直観と哲学との関係を論じて,哲学の決定的方法として提示した直観について,その見解を明らかにした「哲学的直観」.認識の2つの方法である分析と直観に対する考察と,その可能性を論じた「哲学入門」「変化の知覚」.思索の記録ともいうべき2つの「緒論」を含めた8篇の論文を収める.(解説=木田元)

■「思想と動くもの」について(解説より)


ベルクソンは生前みずからの手で2冊の論文集を編纂している.一冊は1919年に出された『精神のエネルギー』であり,もう一冊の本が1934年に出された本書である.いずれも,すでに発表された論文やすでにおこなわれた講演の原稿を集めたものであり,しかも,ずいぶん時を隔てて出版されてはいるが,どうやらこの二冊は同時に構想されたものらしい.『精神のエネルギー』の「まえがき」で,論文集を出版する旨が述べられたあと,次のように言われているからである.

「これは二冊に分けられる.第一冊目には心理と哲学の問題を扱った研究が集められる.これらの問題はすべて〈精神のエネルギー〉の問題に帰着するから,それをこの本の標題にする.第二冊目には方法についての試論と,その方法の起源や適用の仕方を示す緒論とが集められる」

 第一冊目の『精神のエネルギー』には,「意識と生命」「心と身体」「脳と思考」といった論文が集められているから,「心理学と哲学の特定の問題」ということで何が考えられているか推測できる.第二冊目と言われているのが本書のことであることは言うまでもないが,ここには「方法としての試論」と「その方法の起源や適用の仕方を示す緒論」が集められていることになる. クロード・ベルナールとウィリアム・ジェイムズとラヴェソンについての三篇はいわばおまけのように見える.これが意外にベルクソンの思想の質を伝えて重要なのであるが.

緒論
第一部
第二部
可能性と事象性
哲学的直観
変化の知覚
哲学入門
クロード・ベルナールの哲学
ウィリアム・ジェイムズの実用主義(プラグマティスム) 心理と事象
ラヴェソンの生涯と業績


解説(木田元)
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