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新編 中国名詩選 (上)

(全3冊)

三千年の歴史を有する中国の詩――上古から清末までの精選五百首が,深く鋭い読解で甦る.

新編 中国名詩選 (上)
著者 川合 康三 編訳
通し番号 赤33-1
ジャンル 書籍 > 岩波文庫 > 赤(東洋文学)
日本十進分類 > 文学
刊行日 2015/01/16
ISBN 9784003700013
Cコード 0198
体裁 文庫 ・ 並製 ・ カバー ・ 568頁
在庫 在庫あり
三千年の歴史を有する中国の詩──そこには,道への志,政治批判,友情,望郷,恋愛,山水,仙界への希求など,自然と人間の万象が鮮やかにうたわれてきた.理と情の限りを尽くした膨大な詩から選りすぐった上古から清末までの五百首.精確で核心を鋭く射貫いた解釈が,漢詩本来の芳醇繊細で躍動する息吹を甦らせる.(全3冊)


■内容紹介
 この本は中国古典詩がどのようなものか,全体のあらましを知って,親しんでいただくために編んだものです.日本では早く五世紀頃から中国の書物を学び,詩も受容してきました.最古の漢詩集『懐風藻』(751),をはじめとして,詩を作ることも行われてきました.日本の文学のなかの一つのジャンルと言ってもいいほどです.
 しかし明治以降,学びの対象を西洋に転換して以来,そしてことに戦後になって,中国の詩は日本の文化,文学のなかから急速に遠ざかっていったかに見えます.日本の伝統文化をよりよく理解するためというのみならず,中国の古典詩が世界の文学のなかで大きな意義を持つことを知るためにも,私たちはこの文化遺産を,改めて読み直すべきではないでしょうか.
 そのために,中国の上古から清末までの詩歌,約五百首を選びました.伝説上の詩歌も上代のなかに収めました.『詩経』から数えても,三千年に近い長さになります.それは伝統的な古典文学が,文化の中心にあった時代に当たります.
 選択の基準は,中国の文学のなかで大きな意義を持つ作品,また中国や日本でよく知られてきた作品,ということです.よく知られてきたとは,古今のアンソロジーに収められることが多い詩,後代の作品のなかで言及されることが多い詩,といったところですが,こんな詩があることも知ってほしいという編訳者の思いから選んだ詩も含まれます.

 全体を時代順に三冊に分け,各冊のなかで,
*上冊は,上古・『詩経』・『楚辞』・前漢・後漢・魏晋・南朝(東晋・南朝宋・南斉・梁・陳)・北朝,
*中冊は,唐の初唐・盛唐・中唐(柳宋元まで),
*下冊は,中唐(白居易から)・晩唐・北宋・南宋(金)・元明清と区分しました.均等に選び取ることより,作品の知名度・重要度を斟酌したため,時代による繁簡が生じる結果になりました.
 各時代の区分には,はじめにその時期の概要を記しました.
 各詩篇は,作者の紹介・原文・訓読・語注・訳・補釈の順で並べました.
 原文のみ正字を用い,ほかは原則として常用字を用いました.
 現文はほぼ通行するテキストを用い,字の異同が意味の大きな違いを生じる場合に限って,それについて注記しました.
 各冊には関連する地図(鈴木達明作成),年表を付しました.
 下冊の最後に,中国の詩歌についての概説,および詩人・詩題の索引,総目次を載せました.
(「はしがき」より)
◆上古
 上古の詩歌
撃壌歌(げきじょうのうた)
采薇歌(さいびのうた)
麥秀歌(ばくしゅうのうた)
接與歌(せつよのうた)


◆『詩経』
 『詩経』について
關雎(かんしょ)【国風・周南(しゅうなん)】
桃夭(とうよう)【国風・周南】
芣苢(ふい)【国風・周南】
柏舟(はくしゅう)【国風・邶風(はいふう)】
蝃蝀(ていとう)【国風・鄘風(ようふう)】
河廣(かこう)【国風・衛風(えいふう)】
木瓜(ぼっか)【国風・衛風】
黍離(しょり)【国風・王風(おうふう)】
君子于役(くんしうえき)【国風・王風】
采葛(さいかつ)【国風・王風】
女曰雞鳴(じょえつけいめい)【国風・鄭風(ていふう)】
狡童(こうどう)【国府・鄭風】
風雨(ふうう)【国風・鄭風】
子衿(しきん)【国風・鄭風】
雞鳴(けいめい)【国風・斉風(せいふう)】
蟋蟀(しっしゅつ)【国風・唐風(とうふう)】
七月(しちがつ)【国風・豳風(ひんぷう)】
鹿鳴(ろくめい)【小雅】
常棣(じょうてい)【小雅】
采薇(さいび)【小雅】


◆『楚辞』
 『楚辞』について
漁父(ぎょほ)  屈原(くつげん)
九辯(きゅうべん)  宋玉(そうぎょく)
招隱士(しょういんし)  淮南小山(わいなんしょうざん)


◆前漢
 前漢の詩歌
易水歌(えきすいのうた)  荊軻(けいか)
垓下歌(がいかのうた)  項羽(こうう)
大風歌(たいふうのうた)  劉邦(りゅうほう)
秋風辭(しゅうふうのじ)  漢の武帝
李延年歌(りえんねんのうた)  李延年(りえんねん)
與蘇武三首(そぶにあたうさんしゅ)  李陵(りりょう)
詩四首(しししゅ)  蘇武(そぶ)
怨歌行(えんかこう)  班倢伃(はんしょうよ)
江南(こうなん)
上邪(じょうじゃ)


◆後漢
 後漢の詩歌
四愁詩四首(ししゅうのしししゅ)  張衡(ちょうこう)
薤露(かいろ)
蒿里(こうり)
烏生(うせい)
西門行(せいもんこう)
飲馬長城窟行(いんばちょうじょうくつこう)
長歌行(ちょうかこう)
贈婦詩三首(つまにおくるしさんしゅ) 其の一  秦嘉(しんか)
古詩十九首(こしじゅうきゅうしゅ) 其の一 其の三 其の四 其の八 其の十 其の十三 其の十四 其の一五  無名氏(むめいし)
陌上桑(はくじょうそう)
古詩 爲焦仲卿妻作(こし しょうちゅうけいのつまのためにつくる)(節録)


◆魏晋
 魏晋の詩歌
短歌行(たんかこう)  曹操(そうそう)
歩出夏門行(ほしゅつかもんこう)  曹操
七哀詩二首(しちあいしにしゅ)  王粲(おうさん)
飲馬長城窟行(いんばちょうじょうくつこう)  陳琳(ちんりん)
雜詩(ざっし)  劉楨(りゅうてい)
侍五官中郎將建章臺集詩(ごかんちゅうろうしょうのけんしょうだいのつどいにじするし)  応場(おうとう)
芙蓉池作(ふようちのさく)  曹丕(そうひ)
雜詩二首(ざっしにしゅ)  曹丕
燕歌行(えんかこう)  曹丕
公讌(こうえん)  曹植(そうしょく)
雜詩六首(ざっしろくしゅ) 其の一 其の五  曹植
贈白馬王彪(はくばおう ひょうにおくる)  曹植
七哀詩(しちあいし)  曹植
白馬篇(はくばへん)  曹植
吁嗟篇(くさへん)  曹植
詠懐詩十七首(えいかいしじゅうしちしゅ) 其の一 其の八 其の九 其の十四  阮籍(げんせき)
幽憤詩(ゆうふんのし)  嵆康(けいこう)
金谷集作詩(きんこくのつどいにてつくれるうた)  潘岳(はんがく)
悼亡詩三首(とうぼうしさんしゅ)  其の一  潘岳  
詠史八首(えいしはっしゅ) 其の一 其の二  左思(さし)
招隱詩二首(しょういんしにしゅ) 其の一   左思
赴洛道中作二首(らくにおもむくどうちゅうのさくにしゅ) 其の二  陸機(りくき)
園葵詩(えんきのし)  陸機
贈弟士龍(おとうとのしりゅうにおくる)  陸機
猛虎行(もうここう)  陸機
答兄機(あにのきにこたう)  陸雲(りくうん)


◆南朝
 南朝の詩歌
遊仙七首(ゆうせんしちしゅ) 其の一  郭璞(かくはく)
反招隱詩(はんしょういんし)  王康琚(おうこうきょ)
形影神(けいえいしん) 形贈影(かたち かげにおくる) 影答形(かげ かたちにこたう) 神釋(しんのしゃく)  陶淵明(とうえんめい)
歸園田居五首(えんでんのきょにかえるごしゅ) 其の一 其の三  陶淵明
飲酒二十首(いんしゅにじっしゅ) 其の五 其の十四  陶淵明
責子(こをせむ)  陶淵明
擬挽歌辭三首(びばんかじさんしゅ)  陶淵明
歸去來兮辭(ききょらいのじ)  陶淵明
五君詠五首(ごくんえいごしゅ) 其の一 阮歩兵(げんほへい) 其の二 嵆中散(けいちゅうさん)  顔延之(がんえんし)
晩出西射堂(くれにせいしゃどうをいず)  謝霊運(しゃれいうん)
登池上樓(ちじょうのろうにのぼる)  謝霊運
登江中孤嶼(こうちゅうのこしょにのぼる)  謝霊運
石壁精舎還湖中作(せきへきのしょうじゃよりこちゅうにかえるのさく) 謝霊運
於南山往北山經湖中贍眺(なんざんよりほくざんにゆくにこちゅうをへてせんちょうす)  謝霊運
泛湖歸出樓中翫月(みずうみにうかびてかえりろうちゅうよりいでてつきをめず)  謝恵連(しゃけいれん)
東武吟(とうぶぎん)  鮑照(ほうしょう)
詠史(えいし)  鮑照
翫月城西門解中(つきをじょうせいのもんのかいちゅうにめず)  鮑照
子夜歌四十二首(しやかしじゅうにしゅ) 其の三 其の七 其の九
子夜四時歌七十五首(しやしいじかしちじゅうごしゅ) 春歌二十首其の二十 夏歌二十首其の九 秋歌十八首其の十七 冬歌十七首其の六
讀曲歌八十九首(どっきょくかはちじゅうきゅうしゅ) 其の二十八 其の五十五 其の六十三
玉階怨(ぎょくかいえん)  謝眺(しゃちょう) 
暫使下都夜發新林至京邑西府同僚(しばらくかとにつかいし,よるしんりんをはっしてけいゆうにいたらんとし,せいふのどうりょうにおくる)  謝
之宣城出新林浦向版橋(せんじょうにゆかんとして,しんりんぽをいでてはんきょうにむかう)  謝眺
遊東田(とうでんにあそぶ)    謝眺
晩登三山還望京邑(くれにさんざんにのぼりてけいゆうをかんぼうす)  謝眺
新安江水至淺深見底貽京邑遊好(しんあんのこうすいはいたってきよく,せんしんにそこをみる けいゆうのゆうこうにおくる)  沈約(しんやく)
別范安成詩(はんあんせいにわかるるし) 沈約
雜體詩三十首(ざつたいしさんじゅっしゅ) 其の三十 休上人別怨(きゅうしょうにん べつえん)  江淹(こうえん)
詔問山中何所有賦詩以答(みことのりしてさんちゅう なんのあるところぞととわれ,しをふしてもってこたう)  陶弘景(とうこうけい)
河中之水歌(かちゅうのみずのうた)  梁の武帝(りょうのぶてい)
江南曲(こうなんきょく)  柳惲(りゅううん)
臨行與故游夜別(ゆくにのぞみてこゆうとよる わかる)  何遜(かそん)
答柳惲(りゅううんにこたう)  呉均(ごきん)
關山月(かんさんげつ)  徐陵(じょりょう)
遇長安使寄裴尚書(ちょうあんのつかいにあいはいしょうしょによす)  江総(こうそう)


◆北朝
 北朝の特色
擬詠懐二十七首(えいかいにぎすにじゅうしちしゅ) 其の十八 其の二十六  庚信(ゆしん)
人日思歸(じんじつ かえるをおもう)  薛道衡(せつどうこう)
木蘭詩(もくらんのし)
敕勒歌(ちょくろくのうた)

 年表1
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