陸游詩選

南宋第一の詩人の憂国の詩,田園の詩.167首を精選.

陸游詩選
著者 一海 知義
通し番号 赤41-1
ジャンル 書籍 > 岩波文庫
日本十進分類 > 文学
刊行日 2007/12/14
ISBN 9784003204115
Cコード 0198
体裁 文庫 ・ 並製 ・ カバー ・ 416頁
在庫 品切れ
南宋を代表する詩人陸游(1125-1209).国土の半分を金に奪われた祖国を憂え,世に容れられぬ主戦論者として,波乱の生涯を送る.放翁と号して不正や怯懦を歯に衣着せず批判する一方,異土の山水,故郷の風物に目を凝らし,農村の営みをこまやかに歌う.生涯に約1万首の詩を残した巨大な詩人の愛国詩・閑適詩167首を精選.

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  われの生まれしとき 急雨 淮(河)の天(そら)に暗く
  蛟(みずち)と鼉(わに)の出没して 浪は船に入る

 陸游(1125~1209)は自分が生まれたときの光景をこううたっている(「剣南詩稿」23巻).淮南地方で物資輸送の副責任者としての職についていた父陸宰が,朝命を受けて北宋のみやこ京(べんけい=河南省開封)へと急ぐ船上で,陸游は生まれた.今から900年近く前のことである.
 出生のときのこの不気味な光景は,陸游個人の一生の波瀾を暗示していただけではない.それは,滅亡寸前にある国家の運命の象徴でもあった.
 ……
 少年から青年へ,その過程の中で,陸游は心に大きな傷手をのこす二つの挫折を経験する.一つは結婚にまつわる悲劇であり,一つは宰相秦檜(しんかい)による進士受験の失敗である.……二つの挫折は若い陸遊に深い苦悩を味わわせ,ことに後者は彼の一生を支配さえした,だが結婚の挫折は,彼の純粋な感情と美しい詩をわれわれに示す契機となったし,官界の登竜門での挫折は……金に対する抗戦の主張とに結晶し,陸游を正義の詩人,憂国の詩人として成長させる契機となった.
(「解説」より)
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