ヘルダーリン詩集
ドイツの孤高の純粋詩人ヘルダーリン(1770-1843)の詩は,気高く澄み渡っている.代表作30数篇を収録.
ドイツの孤高の詩人ヘルダーリン(1770-1843)の詩は,理想の世界を遠望し,どこまでも気高く美しい.彼が「ディオティーマ」と呼んだ女性との運命的な出会いと別れを経て,その詩は天上的とも類えられる境地に達した.しかしその直後,30代半ば頃から精神の均衡を失した彼は,精神的薄明の中でその後半生を生きねばならなかった.
■内容紹介
ゲーテの詩は他の詩人の作品と比較することができる.しかしヘルダーリンの詩は,他のいかなる作品とも比較することができない.哲学者のカール・ヤスパースは,そういっている.
ドイツ近代詩の世界で,最大の存在はゲーテである.どれほど権威主義を嫌悪し,文学の場に階級差別や序列づけを持ちこむのを忌避する人でも,このことばかりは認めざるを得ないだろう.(中略)
ヘリングラートは,「ヘルダーリンとドイツ人」と題する講演で,ゲーテの及びがたい高さ,広さにふれ,それに比べればヘルダーリンは小さいし狭い,しかしその代わりヘルダーリンには,比類を絶する内的な充溢があり,外は局限されていても中には無限の成就がある,ここにはいわば「貧しさの富」の栄光があり,その側から見ればゲーテには「最も豊かな者の貧しさ」が見て取れるだろう,とまでいっている.
■内容紹介
ゲーテの詩は他の詩人の作品と比較することができる.しかしヘルダーリンの詩は,他のいかなる作品とも比較することができない.哲学者のカール・ヤスパースは,そういっている.
ドイツ近代詩の世界で,最大の存在はゲーテである.どれほど権威主義を嫌悪し,文学の場に階級差別や序列づけを持ちこむのを忌避する人でも,このことばかりは認めざるを得ないだろう.(中略)
ヘリングラートは,「ヘルダーリンとドイツ人」と題する講演で,ゲーテの及びがたい高さ,広さにふれ,それに比べればヘルダーリンは小さいし狭い,しかしその代わりヘルダーリンには,比類を絶する内的な充溢があり,外は局限されていても中には無限の成就がある,ここにはいわば「貧しさの富」の栄光があり,その側から見ればゲーテには「最も豊かな者の貧しさ」が見て取れるだろう,とまでいっている.
(「解説」より)
書評情報
週刊朝日 2002年6月28日号
産経新聞(朝刊) 2002年6月2日
産経新聞(朝刊) 2002年6月2日