弓と竪琴
「詩」とは何か? ポエジーとは何か? 「詩的なるもの」とは何なのか? ノーベル賞作家パス(1914-98)畢生の一大詩論.
「詩」とは何か? ポエジーとは何か? 「詩的なるもの」とは何なのか? 詩を構成する要素である言語,リズム,韻文・散文の弁別特徴,そしてイメージとは? 驚嘆すべき博識と犀利な知性,研ぎ澄まされた詩的直観と洞察力に裏付けられた,ノーベル賞作家パス(1914-98)畢生の一大詩論.(解説=松浦寿輝・山口昌男)
■内容紹介
オクタビオ・パスは旅人である.おおざっぱに言って,1940年代頃から世界文学の主流に乗り出してきた,新しいラテンアメリカ文学の担い手たちは,グイラルデスやR・ガジェーゴスらによって代表されるそれ以前の文学世代が,あくまでその土地の人であったのに対し,ほとんどが旅人である.とはすなわち,彼らのヨーロッパとの接触を意味する.この視野の拡大は,それまでのラテンアメリカという限られた空間内での〈自然〉と〈人間〉の葛藤を外に向けて解放した.そしてヨーロッパの知的伝統を受け継ぎ,前衛的な文学運動に触れた彼らは,その〈自然〉と,ラテンアメリカ自体の出生に対する強烈な意識という意味でのコンプレックスを,むしろ有力な武器として,ヨーロッパに対峙するにいたったのである.そして,ヨーロッパに対峙するということは,とりもなおさず普遍性に通じる.
こうした普遍性を獲得した,あるいは獲得しつつある旅人たちのたちの中にあっても,オクタビオ・パスは異彩を放っているのであるが,それが彼の旅がヨーロッパのみならず,東洋までをも渉猟しているからである.それゆえ,シュルレアリスムによって昇華されたパスのメキシコ性は,東洋の諸文化との接触を通してさらに深化されることになる.
■内容紹介
オクタビオ・パスは旅人である.おおざっぱに言って,1940年代頃から世界文学の主流に乗り出してきた,新しいラテンアメリカ文学の担い手たちは,グイラルデスやR・ガジェーゴスらによって代表されるそれ以前の文学世代が,あくまでその土地の人であったのに対し,ほとんどが旅人である.とはすなわち,彼らのヨーロッパとの接触を意味する.この視野の拡大は,それまでのラテンアメリカという限られた空間内での〈自然〉と〈人間〉の葛藤を外に向けて解放した.そしてヨーロッパの知的伝統を受け継ぎ,前衛的な文学運動に触れた彼らは,その〈自然〉と,ラテンアメリカ自体の出生に対する強烈な意識という意味でのコンプレックスを,むしろ有力な武器として,ヨーロッパに対峙するにいたったのである.そして,ヨーロッパに対峙するということは,とりもなおさず普遍性に通じる.
こうした普遍性を獲得した,あるいは獲得しつつある旅人たちのたちの中にあっても,オクタビオ・パスは異彩を放っているのであるが,それが彼の旅がヨーロッパのみならず,東洋までをも渉猟しているからである.それゆえ,シュルレアリスムによって昇華されたパスのメキシコ性は,東洋の諸文化との接触を通してさらに深化されることになる.
(「オクタビオ・パスについて」より)
初版への序
再版への序
序論
ポエジーと詩(ポエム)
詩
言語
リズム
韻文と散文
イメージ
詩的啓示
彼岸
詩的啓示
インスピレーション
詩と歴史
瞬間の聖化
英雄的世界
小説の曖昧性
実体のないことば
エピローグ
回転する記号
補遺
I 詩,社会,国家
II 詩と呼吸
III アメリカの詩人,ホイットマン
*
オクタビオ・パスについて(牛島信明)
《解題》
大いなる一元論(松浦寿輝)
《補論》
オクタビオ・パスと文化記号論(山口昌男)
再版への序
序論
ポエジーと詩(ポエム)
詩
言語
リズム
韻文と散文
イメージ
詩的啓示
彼岸
詩的啓示
インスピレーション
詩と歴史
瞬間の聖化
英雄的世界
小説の曖昧性
実体のないことば
エピローグ
回転する記号
補遺
I 詩,社会,国家
II 詩と呼吸
III アメリカの詩人,ホイットマン
*
オクタビオ・パスについて(牛島信明)
《解題》
大いなる一元論(松浦寿輝)
《補論》
オクタビオ・パスと文化記号論(山口昌男)
書評情報
読売新聞(夕刊) 2011年5月2日