失われた足跡
アメリカ大陸の〈驚異的な現実〉を舞台に,文明に疎外された主人公が人間性を回復する過程を描く,カルペンティエルの代表作.
大都会で虚しい日々を過ごしている音楽家が,恩師からインディオの幻の原始楽器を探しに行くよう依頼され,オリノコ川上流へと旅立つ.大河を舟で遡る空間の旅は,20世紀の都会から中世風の町へ,さらには旧石器時代にも等しい集落へと時間を遡る旅でもあった.《魔術的リアリズム》の創始者の一人カルペンティエル(1904-80)の代表作.
書評情報
読売新聞(朝刊) 2019年11月10日(評者:奥野克己さん)
東京新聞(朝刊) 2014年7月13日
東京新聞(朝刊) 2014年7月13日