伊東静雄詩集

伊東静雄詩集
著者 杉本 秀太郎
通し番号 緑125-1
ジャンル 書籍 > 岩波文庫 > 緑(現代日本文学)
日本十進分類 > 文学
刊行日 1989/08/16
ISBN 9784003112519
Cコード 0192
体裁 文庫 ・ 252頁
在庫 品切れ
「わが死せむ美しき日のために/連嶺の夢想よ! 汝が白雪を/消さずあれ」.この鮮烈な詩句を含む詩集『わがひとに与ふる哀歌』は,意識の暗黒部との必死の格闘によって生まれた.のち表現は透化し平明となり『反響』を生む.ここに収めた百篇の詩によって,在来の抒情詩とは異質な伊東静雄(一九〇六―五三)の詩的展開が跡づけられる.


■解説より
 伊東静雄には四冊の詩集がある.詩人自身が詩の配列順序を立て,また校正にも従った詩集として,四冊だけがある.『わがひとに与ふる哀歌』(昭和十年十月),『夏花』(昭和十五年三月),『春のいそぎ』(昭和十八年九月),『反響』(昭和二十三年一月).但し『反響』は,『春のいそぎ』以降の詩十編を「小さい手帖から」として巻首につらねたあとに,既刊三冊の詩集から自選した詩を三部に分けて収める.「わがひとに与ふる哀歌」の部には同題のもとの詩集二十七篇のうち十八篇,「凝視と陶酔」の部には『夏花』二十一篇のうち三篇を省き,あらたに三篇を加えた二十一篇,「わが家はいよいよ小さし」の部には『春のいそぎ』二十一篇のうち十五篇を『夏花』中の一篇を移して十六編を収める.
創元選書の一冊として『伊東静雄詩集』が創元社より出版されたのは,詩人の死後五箇月,昭和二十八年七月であった.昭和二十四年十月以来,肺結核のために入院していた伊東静雄は,創元選書版の出版については,かねて一切を信頼する二人の編者,桑原武夫,富士正晴にゆだねていた.……
 この岩波文庫には創元社版『伊東静雄』の体裁を踏襲することにした.但し,『反響』の十篇は,創元社版では省かれた「小さい手帖から」という総題を復活したうえで収録した.……
(杉本秀太郎)
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