なぜ,いま代用監獄か

えん罪から裁判員制度まで

裁判員制度など刑事司法が大きく変わろうとしているいま,代用監獄を問い直す意味はどこにあるのか.

なぜ,いま代用監獄か
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著者 小池 振一郎 , 青木 和子
通し番号 669
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2006/02/03
ISBN 9784000093699
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 64頁
定価 本体480円+税
在庫 在庫あり
裁判員制度を始めとして日本の刑事司法制度が大きく変わろうとしているいま,代用監獄を問い直す意味はどこにあるのか.実際に代用監獄を体験した2人のえん罪被害者の語りと,取調べの可視化・未決拘禁制度改革など今後の刑事司法の展望から,その意味が見えてくる.

■著者からのメッセージ

 2005年5月,100年ぶりに監獄法(受刑者に関わる部分)が改正された.2009年からは,司法改革の目玉とも言える裁判員制度が始まる.改革の波の中で,日本の刑事司法も大きく動こうとしている.
 しかし,裁判によって有罪か無罪かが確定するまでの被疑者・被告人が身体を拘束される,未決拘禁制度は,未だ改善されていない.本書は,その中でも,国際社会から非難を浴び続け,「えん罪の温床」といわれてきた「代用監獄」の廃止について,これまでの監獄法改正運動や,布川事件などの実例をふまえて展望したものである.
 大規模独立留置場が次々と作られようとしており,代用監獄廃止の課題がますます困難とも思える状況の中で,どこに代用監獄廃止の展望を見出せるのか.
 それは同時に,「調書裁判」といわれる日本の刑事司法の根幹に変革を迫ることでもある.その重要な契機が,裁判員制度の実現である.裁判員制度は,日本の刑事司法を「調書裁判」から「公判中心の裁判」に転換するチャンスであるし,またそうしなければならない.
 ときあたかも2006年1月17日,杉浦正健法務大臣は「刑事施設収容人員適正化プロジェクト」を立ち上げると記者発表した.過剰拘禁対策である.プロジェクトは,刑務所での施設内処遇と社会内処遇の中間的な処遇形態を探り,自宅拘禁制度なども検討されるものと期待される.刑務所にどしどし送り込んで,処遇が劣悪化し,その結果,再犯が減らないというアメリカと同じ過ちをおかしてはならない.起訴前保釈制度の導入など,未決拘禁制度の改革にもメスが入れられ,刑法・刑事訴訟法の改正も視野に置かれるものと思われる.
 ただ拘禁すればいいという発想から,むしろ,いかに社会復帰を実現していくかという発想が指向されるならば,それは,本書が目指した方向に重なる.本書が,「人質司法」ともいわれてきた日本の刑事司法を転換していく一助となれば,幸いである.
【小池振一郎・青木和子】
I もしも,あなたが逮捕されたら
 
――未決拘禁って? 代用監獄って? 青木 和子

II 弁護士が見たアクリル板の「向こう側」
 
――えん罪当事者が語る 安田 好弘

III 未決拘禁制度を国際水準に
 
――「ダイヨウカンゴク」は国際語?! 青木 和子

IV 刑事司法の今後を展望する
 
――裁判員制度のもとで 小池振一郎
小池振一郎(こいけ・しんいちろう)
弁護士.1972年東京大学法学部卒.1974年弁護士登録.日弁連刑事拘禁制度改革実現本部事務局長.著書に,『ワイドショーに弁護士が出演する理由』(平凡社新書).共著に,『刑事司法改革 ヨーロッパと日本』(岩波ブックレット),『なぜ私はこの仕事を選んだのか』(岩波ジュニア新書),『ザ・別れる理由(離婚の哲学)』(宝島文庫),『明解Q&A新借地借家法』(三省堂),『新 刑事手続 I 』(悠々社),『池内ひろ美の離婚の学校』(法律監修,主婦の友社)など.
青木和子(あおき・かずこ)
弁護士.1978年東京都立大学法学部卒.1981年弁護士登録.日弁連刑事拘禁制度改革実現本部事務局次長.

書評情報

日本経済新聞(朝刊) 2006年3月12日
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