世界史なんていらない?

必修なのに,学ばれていない?「暗記物」だから嫌われている? 今こそ語ろう,世界史の魅力,奥深さ.

世界史なんていらない?
著者 南塚 信吾
通し番号 714
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2007/12/05
ISBN 9784000094146
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 72頁
定価 528円
在庫 在庫あり
2006年末の教育界への激震となった,世界史未履修騒ぎ.必修なのに学ばなくていい?「暗記物」だから嫌われている? 日本史をやれば十分? 激動の時代だからこそ面白く,日々研究も進んでいる世界史の研究と学び.その奥深い魅力を,高校現場の先生からの授業実践のヒントとともにどうぞ.

■著者からのメッセージ

2006年の秋に,わが国の高等学校で必修であるはずの世界史が教えられていないことがあるという事実が判明して以来,世界史の教育は必要なのか否かが,改めて問われてきました.これは「世界史飛び越し問題」あるいは「世界史未履修問題」と称されてきています.
 しかし,この「世界史飛び越し問題」は,高校での履修制度や大学への受験制度といった技術的な観点から議論すべきではなく,日本に生きる人々の歴史意識をどう作るかという,根本的な観点から議論されるべきであると思われます.
 歴史の現実においては,グローバリゼーションと言われる事態が急速に進行しています.われわれの歴史意識はこのような事態に対応できるのでしょうか.
 実際には,日本の国民の歴史意識は近年ますます「孤立」化ないしは「鎖国」化しているように思われます.その結果,われわれの歴史意識は,近隣諸国を始めとする世界各地の歴史意識と大きなズレを生み出している恐れがあります.
 以下,この小冊子では,世界史を研究し広めなければならないと考えている者の立場から,世界史の教育と研究はどのような問題を抱え,それにどう対応できるのかを論じてみようと思います.
(「はじめに」より)
はじめに

I 世界史はなぜ嫌われる?
  1 世界史の教育が抱える問題とは
[コラム] 中学校,高等学校での世界史の学ばれ方(澤野 理)
  2 世界史の研究が抱える問題とは

II 世界史はなぜ必要か
  1 日本に生きるものにとって世界史はなぜ必要か
  2 世界史教育はなぜ必要か
[コラム] こんな授業をやってみた(平井英徳)

III 世界史を構想するヒント
  (1)広島・長崎 (2)川上音二郎・貞奴一座 (3)日清・日露戦争の時代 (4)1980年代の世界 (5)義賊

おわりに――歴史研究の課題と教育
"南塚信吾(みなみづか・しんご)1942年生まれ.東京大学教養学部卒,同大社会学研究科博士課程単位取得退学.千葉大学などを経て,現在,法政大学国際文化学部教授.専門は東欧史,国際関係史.歴史学の現状への危機感から,2004年に「世界史研究所」を開設.研究者,現場の教師たちと積極的に交流・研究を行っている.
著書に,『ドナウ・ヨーロッパ史』(山川出版社,編著),『義賊伝説』(岩波新書),『アウトローの世界史』(NHKブックス),『歴史学事典』(弘文堂,共編著),『ブダペシュト史』(現代思潮新社)など."
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