取り返しのつかないものを,取り返すために

大震災と井上ひさし

『父と暮せば』や『吉里吉里人』をひきつつ,井上ゆかりの被災地に思いをはせ,私たちに問われていることを考える.

取り返しのつかないものを,取り返すために
著者 大江 健三郎 , 内橋 克人 , なだ いなだ , 小森 陽一
通し番号 814
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 社会
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2011/07/08
ISBN 9784002708140
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 64頁
在庫 品切れ
もしも今,彼が存命であったら,愛した土地の姿をどうとらえただろう.被災した者に,被災を逃れた者に,どんな言葉をくれただろうか――.井上ひさしの一周忌に,鎌倉で開かれた追悼講演会を収録.亡くなった人の分も生きて,幸せになってくれと娘に願う『父と暮せば』の父の姿をひきながら,いま私たちがすべきことを問う.


■編集部からのメッセージ
 このブックレットは,二〇一一年四月九日におこなわれた「鎌倉・九条の会」主催による「憲法のつどい 二〇一一 鎌倉」での講演を,加筆し収録したものです.
 「鎌倉・九条の会」は二〇〇五年六月,前年の「九条の会」結成を受けて,市内在住の井上ひさし,内橋克人,なだいなだの三氏を「よびかけ人」として発足しました.
 そのよびかけ人の一人である井上ひさし氏が亡くなられてちょうど一年にあたるこの日,「井上ひさしの言葉を心にきざんで」と題して,ゆかりの方々による講演会が開かれました.それは,井上ひさしを生み,育てた東北で三月一一日発生した大震災をうけて,惨禍のあとをどう生きるのか考えつつ,あらためて,憲法の精神と,井上ひさしの遺した言葉を,講師とともにかみしめる場となりました.
(「はじめに」より)
不安社会を生きる
内橋克人

靖国合祀と憲法
なだいなだ

九条を文学の言葉として
大江健三郎

井上ひさしさんの言葉
小森陽一
大江健三郎(おおえ・けんざぶろう)
1935年愛媛県生まれ.小説家.「九条の会」よびかけ人.著書に『沖縄ノート』『ヒロシマ・ノート』(岩波新書),『死者の奢り・飼育』『燃え上がる緑の木』(新潮文庫),『取り替え子(チェンジリング)』(講談社文庫),『水死』(講談社)など.

内橋克人(うちはし・かつと)
1932年兵庫県生まれ.経済評論家.「鎌倉・九条の会」よびかけ人.著書に『共生の大地』(岩波新書),『始まっている未来』(共著,岩波書店),『新版 匠の時代』(全6巻,岩波現代文庫),『日本の原発,どこで間違えたのか』(朝日新聞出版)など.

なだいなだ
1929年東京都生まれ.小説家,評論家,医学博士.「鎌倉・九条の会」よびかけ人.『<こころ>の定点観測』『神,この人間的なもの』(岩波新書),『いじめを考える』(岩波ジュニア新書),『こころの底に見えたもの』(ちくまプリマー新書)など.

小森陽一(こもり・よういち)
1953年東京都生まれ.日本近代文学研究者,東京大学教授.「九条の会」事務局長.『漱石論』『難民<思考のフロンティア>』(岩波書店),『記憶せよ,抗議せよ,そして生き延びよ』(対談集,シネフロント社),『天皇の玉音放送』(朝日文庫)など.

鎌倉・九条の会 http://www.kamakura9-jo.net
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