日本人は民主主義を捨てたがっているのか?

橋下現象とは何だったのか.安倍政権の狙う改憲の本質とは.日本社会の直面する危機を鋭く描出する.

日本人は民主主義を捨てたがっているのか?
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著者 想田 和弘
通し番号 885
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2013/11/06
ISBN 9784002708850
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 79頁
定価 本体620円+税
在庫 在庫あり
橋下現象とは何だったのか.安倍政権の狙う改憲の本質とは.市民が政治の当事者となり,権力の暴走を抑えるはずの民主主義のシステムが形骸化しようとしている.いま必要なことは,当たり前に享受してきた「自由」や「権利」の意味を私たちが自ら問い直すことではないか.気鋭の映画作家が,日本社会の直面する危機を鋭く描出する.

■編集部からのメッセージ

 著者の想田和弘さんは,「日本的選挙」の実態に迫った『選挙』『選挙2』や,精神科診療所にカメラを向け,「こころの病」を抱えた人たちの悲喜こもごもを追った『精神』など,話題のドキュメンタリー作品を発表し続ける気鋭の映画作家です.と同時に,特に3.11以降は,ツイッターなどで,現代の政治・社会に対して鋭く,的確な批判を繰り出し注目を集めています.
 3.11による福島原発事故の対応をめぐる政府の迷走によって,この国のシステムのもろさが目の当たりとなりました.「もう政治家や官僚だけに任せてはおけない」.そうした意識が,脱原発運動などの盛り上がりとして現れました.日本社会も変わっていくのではないか.いや,変わらなければならない.私(担当編集者)も含め,そう考えた人は少なくないと思います.
 しかし,3.11から2年以上が経ち,日本社会は変わったでしょうか.むしろ,「政治家や官僚に任せておけない」という意識から,逆の方向に突き進んでしまっているように感じます.3.11を経て,なぜ民主主義の根幹を否定するような改憲を掲げる安倍政権を迎えてしまっているのか.
 想田さんは,日本の現状を「無気力・無関心の中で進む『熱狂なきファシズム』」ととらえます.為政者の権力を市民自らがコントロールするはずの民主主義というシステムが形骸化し,為政者の権力を際限なく拡大する方向に,市民自らが突き進んでいるのではないか…….そうした強い問題意識が本書の基底にあります.
 本書は,『世界』2012年7月号,2013年6月号に掲載された想田さんの論稿に大幅な書き下ろしを加えて,一冊にまとめたものです.書き下ろし部分では,想田さんがこの間,遭遇した二つの出来事――映画『選挙2』撮影中の自民党議員による選挙活動の撮影拒否,2013年7月の参議院選挙直前の日比谷図書館での『選挙』上映中止騒動――をもとに,いま私たちにできることは何かを具体的に読者に語りかけています.
 「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」その問いかけは,読者一人ひとりに向けられています.
(編集部 田中宏幸)

はじめに

第1章 言葉が「支配」するもの――橋下支持の「謎」を追う

第2章 安倍政権を支えているのは誰なのか?

第3章 「熱狂なきファシズム」にどう抵抗するか

おわりに
想田和弘(そうだ・かずひろ)
1970年栃木県足利市生まれ.東京大学文学部卒業後渡米,ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアルアーツ映画学科卒業.93年からニューヨーク在住.NHKなどのドキュメンタリー番組を40本以上手掛けたのち,台本・ナレーション・BGM等のない,自ら「観察映画」と呼ぶドキュメンタリーの手法で『選挙』(2007)を完成させる.同作は世界200カ国近くでテレビ放映され,アメリカでは優秀なテレビ番組に与えられるピーボディ賞を受賞,各地の映画祭でも高い評価を受けた.以降の作品に『精神』(2008,釜山国際映画祭とドバイ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞など),『Peace』(2010,韓国・非武装地帯ドキュメンタリー映画祭のオープニング作品,東京フィルメックス観客賞,香港国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞など),二部作『演劇1』『演劇2』(2012,ナント国際映画祭「若い審査員」賞),『選挙2』.著書に『演劇vs.映画――ドキュメンタリーは「虚構」を映せるか』(岩波書店),『精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける』(中央法規出版),『なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか』(講談社現代新書),共著に『ソーシャル・ドキュメンタリー――現代日本を記録する映像たち』(フィルムアート社),『原発,いのち,日本人』(集英社新書)がある.
公式サイト http://www.laboratoryx.us/sodaofficial
ブログ「観察映画の周辺」http://documentary-campaign.blogspot.jp/
ツイッター @KazuhiroSoda

書評情報

北海道新聞(朝刊) 2015年1月1日
ジャーナリスト 2014年1月25日号
毎日新聞(夕刊) 2013年12月10日
南日本新聞 2013年11月24日
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